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竹林軒出張所

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『青春の門 (東映版)』(映画)

b0189364_8163947.jpg青春の門(1981年・東映)
監督:蔵原惟繕、深作欣二
原作:五木寛之
脚本:野上龍雄
音楽:山崎ハコ
出演:松坂慶子、佐藤浩市、杉田かおる、菅原文太、渡瀬恒彦、鶴田浩二、若山富三郎

「織江の唄」のPVみたいな映画

 五木寛之の大河小説『青春の門』の映画版。『青春の門』は1975年に東宝が映画化(浦山桐郎監督、早坂暁脚本)しており、また1976年にはテレビドラマ化されている。主人公の伊吹信介は、東宝版が田中健、テレビ版が江藤潤で、個人的には伊吹信介といえば江藤潤のイメージが強いが、本作の佐藤浩市もなかなか味がある。一方相手役の織江は、この映画の杉田かおるのイメージが強い(東宝版が大竹しのぶ、テレビ版が秋吉久美子)。この映画は多分これまで見ていないはずなんでなぜかわからないが、そうなんである。おそらく当時テレビで放送されていたこの東映版のCMのせいではないかと思う。だからそのときバックで流れていた山崎ハコの「織江の唄」もすごいインパクトを伴って僕の中に残っている。山崎ハコはこの映画のテーマ曲だけでなく、音楽も担当しているようだが(詳細についてはわからない)、映画での音楽の使い方は、少々古い印象がある。むしろ音楽なしの方が良い場面もあるくらいで、山崎ハコ自身が映画音楽に不慣れだったのかも知れない。ただ「織江の唄」については、この曲1本で、映画のストーリー全部吹っ飛ばすくらいのインパクトがある。残念ながら映画の中ではまったく使われていないので、そういう点では少々期待を裏切られた。
b0189364_8171196.jpg 音楽はともかく、映画は非常にオーソドックスに作られているが、音楽の使い方同様、演出も少々古臭い。見るときはそのあたりを差し引かないと結構鼻につく。ただストーリーがしっかりしているため、退屈することはない。またキャストも、信介の義母タエを松坂慶子が演じている他、菅原文太、渡瀬恒彦、鶴田浩二、若山富三郎などかなり豪華で、当時最高のキャスティングと言って良い。この映画の松坂慶子はことに美しく、炭鉱のむさい男たちと好対照である。映画自体、主人公の性を描いているということもあり、松坂慶子や杉田かおるも文字通り一肌脱いでいる。
 監督は蔵原惟繕と深作欣二が担当しているということだが監督が2人いた場合、現場がどうなるのかはよくわからない。どういう風に役割やシーンを分けたのかも見当がつかない。演出については全体的に並みという印象で、あまりプラス面は感じられない。
 いずれにしても、この映画については山崎ハコの「織江の唄」の印象ばかりが強くて、むしろ映画がこの歌に付属するプロモーションビデオみたいな印象すら受けるのだ。「織江の唄」の中の織江と(この頃の)杉田かおるのイメージも重なって、よく合っている。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『青春の門 自立篇(映画)』
竹林軒出張所『愛の新世界(映画)』
竹林軒出張所『新版「ざんげの値打ちもない」』
竹林軒出張所『今月のCD』
竹林軒出張所『山崎ハコ「十八番」(CD)』

by chikurinken | 2015-11-21 08:20 | 映画
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