大空へ 〜アメリカ自作飛行機物語〜(2003年・NHK)
NHK-BSプレミアム ハイビジョンスペシャル
命がけの趣味
趣味が悪い? それとも? アメリカの自作飛行機マニアを追ったドキュメンタリー。
アメリカではなんでも、飛行機を自作して自ら飛行するという趣味が流行っているらしい。ライトプレーンと呼ばれる小型飛行機についてはキットもあるが、通常は設計図を買い、後は部品の調達、機体の製作などすべて自分でやってしまうというのだから驚く。同好の士が集まる同好会みたいなものも全土にあり、自作飛行機を飛ばすための空港も全米に展開されているらしい。
飛行機の発明者であるライト兄弟も元々アメリカ人であるし、その流れが今も続いているということなのか。この番組ではそのあたりも意識してか、ライト兄弟の業績も紹介される。何でも今の飛行技術の多くはライト兄弟が発明したものだということで、これも目からウロコである。
アメリカにそういう歴史があるのはわかるし、自作飛行機も面白そうであるが、しかしそうは言っても実際に飛ばす際には墜落の危険もあるし、ちょっと実験してみますというレベルのものではない気もする。言ってみれば自作の飛行機を命がけで飛ばすわけで、相当なリスクがあるように思える。実際、このドキュメンタリーに出てきた自作飛行機マニアの1人は実験飛行中墜落して大けがを負っていた。それにもかかわらず本人はもう一度挑戦したいと言っていた。まあ僕には理解できない世界だ。確かに命がけの趣味というのもアメリカらしいと言えばアメリカらしい。
番組の内容としては、個人的にはライト兄弟の紹介部分が一番興味深かったが、しかし彼らのフロンティア・スピリットが自作飛行機として今に脈々と受け継がれているというふうに考えると、自作飛行機マニアのエピソードとも一貫した内容になっていたと言える。いずれにしてもまとまりがあってなかなか面白い番組に仕上がっていたのは間違いない。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『人類初飛行の光と影(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『発明はいかに始まるか(本)』竹林軒出張所『独立時計師たちの小宇宙(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『田宮模型の仕事(本)』竹林軒出張所『盆栽の誕生(本)』