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竹林軒出張所

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『ピクニック』(映画)

ピクニック(1936年・仏)
監督:ジャン・ルノワール
原作:ギイ・ド・モーパッサン
脚本:ジャン・ルノワール
撮影:クロード・ルノワール
出演:シルヴィア・バタイユ、ジョルジュ・ダルヌー、ジャヌ・マルカン、ジャック・ボレル

金を取るんならせめて
できあがったものを見せてくれ


b0189364_8192714.jpg モーパッサンの短編小説『ピクニック』をジャン・ルノワールが監督した作品。助監督としてジャック・ベッケル、アンリ・カルティエ=ブレッソン、ルキノ・ヴィスコンティらが名を連ねる、超豪華スタッフの映画。だが、映画自体は物足りない……というか未完成だ。極端な話、冒頭のシーンとラスト・シーンだけしかないため、序盤のダラダラしたシーンでウトウトしていたら、アレアレという間に終わってしまった。今回劇場で金を払って見たんだが、おかげで何だかとても損した気分になった。公開するに当たって「未完成」であるということをもっと強調してほしかったところである。もっとも「未完成」と言うのも少し言い過ぎなくらいで、厳密に言えば撮影断片にしか過ぎず、本当のところ資料的な価値以上のものはない。ただしこれが完成品だったとしても、物足りない印象を持っていた可能性は高い(演出に疑問符が付く箇所が結構あった)。
 主役はシルヴィア・バタイユという美しい女優(?)で、彼女実はあのジョルジュ・バタイユの奥方らしい。しかも当のバタイユまで映画に飛び入り参加しているというのだからこちらも豪華絢爛(どこに出ているかは不明)。
 映像などは結構凝ったもので印象派の絵画を思わせる部分もあるが、なにぶんモノクロなので印象派的な色彩は表現されようがない。もちろんモノクロなりに美しくはある。今回、デジタル・リマスターされたということで期待はあったが、前回見たときとあまり印象は違わなかった。それよりも今回はパリ近郊の川遊びが持つ意味などを知っていたため(竹林軒出張所『誰も知らない印象派 娼婦の美術史(本)』を参照)、そういう点で印象が多少異なった。まあしかしいずれにしても、非常に中途半端な公開作品であったことには変わりない。
★★☆

追記:
 その後、モーパッサンの原作小説を読んでみたが、驚いたことに、この映画の内容と大して変わらない。つまり原作と照らし合わせて「足りない」と思われる部分がほとんどない。ということは、この映画、「未完成」かも知れないが、決して「撮影断片」などではなかった。原作をほぼ忠実に再現していると言っても良い。とは言え、やはり原作のストーリー部分を十分に演出できているとは言えないので、完成版を見ていたとしても一抹の物足りなさは残ったんじゃないかと思う。

参考:
竹林軒出張所『誰も知らない印象派 娼婦の美術史(本)』
竹林軒出張所『大いなる幻影(映画)』
竹林軒出張所『ゲームの規則(映画)』

by chikurinken | 2015-08-25 08:20 | 映画
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