ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『京都人の密かな愉しみ 夏』(ドキュメンタリー)

京都人の密かな愉しみ 夏(2015年・NHK)
NHK-BSプレミアム ザ・プレミアム

よそ者には知り得ないディープな京都

b0189364_8401499.jpg 今年の正月に放送された『京都人の密かな愉しみ』の第二弾が登場した。その名も『京都人の密かな愉しみ 夏』。
 番組の構成は前回と同様、「洛志社大学」のヒースロー教授(団時朗)と老舗和菓子屋の若女将(常盤貴子)を中心に据えたドラマ仕立ての部分がメインで、それに20分程度の別のショートドラマが織り込まれる。また前回同様、京都の料理研究家による京都料理のコーナーもある。こういうふうに語るとなんだか実にとりとめのない番組のように思われるかも知れないが、実際はうまくまとめられていて、ショートドラマの部分も、メインドラマとうまいことつなげられている(多少とってつけた感じはあるが)。ここではドキュメンタリーに分類したが、ほとんどの部分はドラマであり、演出と脚本は映画監督の源孝志が担当している。
 今回は、京都の市中を流れる地下水がテーマになっていて、そのために鉄輪の井戸や冷泉家の井戸、地下水を利用している錦市場などが紹介される。当然ドラマにも井戸が絡んでいて、テーマに統一感があり、良くまとめ上げられているという印象である。
 ショートドラマ部分のキャストは、1本目が柄本佑、中越典子、川島海荷、2本目が柄本明、眞島秀和、中村倫也ら。柄本親子が別々に登場していて好演している他、1本目の川島海荷という女優が非常に良い味を出していた。中越典子も十分怖さを発揮していて○(ちなみに1本目は少し怪談が入っています)。
 この番組で紹介されるのはかなりディープな京都で、普通に京都に住んでいても知らないようなことばかりである。そうとはわかっていても、この番組を見ていると京都に行ってみたいと感じてしまう。これはひとえに、製作者側の見事な手腕のせいと言って良く、実際に京都を訪れても、この番組で紹介されているような部分まで踏み込むことはできないと思う。観光客は概ね表層だけを辿ることになるが、それは致し方ないことである。
b0189364_8403667.jpg エンドロールでは前回同様、武田カオリが歌う「京都慕情」が流れるが、相変わらずこの曲のCD化の予定はないようだ(おそらくいずれ出てくるとは思う)。なお現在武田カオリのアルバム(TICA名義)は2枚出ていて、1枚目のアルバム『Magalog -Kaori Takeda CM Song Book-』にカバー曲が何曲か収録されている(2枚目のCD『東京のシンフォニー』は、カバー曲は「Mr. サマータイム」のみで後はオリジナル)。コマーシャルソングをたくさん歌っている歌手のようで、『Magalog』はその類の曲が収録されたものだが、カバーをうまく歌える歌手が実力者であるのは言うまでもない。全曲聴いてみたが、カバーの中で一番良かったのは「Mr. サマータイム」だと個人的には思っている。この番組で使われた「京都慕情」はプチブレークのきっかけになるかもしれない。
b0189364_8492460.jpg それから「京都慕情」についてだが、この曲は元々ベンチャーズが作って発表したもので、その後、1970年に渚ゆう子が歌ったものがヒットした。ヒット曲であるためカバーは結構出ていて、オリジナルに近いものだとO'sというデュオのもの(『COVER’s』に収録)、スローテンポでしっとりしたものだとおおたか静流のもの(『恋文』に収録)、パンチの効いたものだと小山ルミのもの(『ベンチャーズ・ヒットを歌う!』に収録)と、僕が知っているだけでもいろいろなバージョンがある。変わったところではダイヤオ・リウジエ・チャンチェンが歌う「北京慕情」(メロディと一部歌詞は「京都慕情」と同じだが、伴奏部分に胡弓が使われていてそれらしい雰囲気になっている)なんてものもあって(『ベンチャーズ歌謡大全』に収録)多彩で面白い。武田カオリのものはスローテンポで、オリジナルとも雰囲気が違い、ちょっと独特な感じがする。
 なお、この『京都人の密かな愉しみ 夏』だが、最後、ヒースロー教授の前に謎の女性(シャーロット・ケイト・フォックス)が登場したところで終わっていたので、間違いなく続編(正確には続々編)が作られるだろう。次は『冬』かな。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ 冬(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『京都人の密かな愉しみ 月夜の告白(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『漱石悶々(ドラマ)』
竹林軒出張所『京都 冷泉家の八百年(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『いねむり先生(ドラマ)』
by chikurinken | 2015-08-22 08:41 | ドキュメンタリー
<< 『紙屋悦子の青春』(映画) 『働く子供たちは守れるのか』(... >>