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竹林軒出張所

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『戦後70年 ニッポンの肖像 (1) 高度成長』(ドキュメンタリー)

戦後70年 ニッポンの肖像 豊かさを求めて
第1回 "高度成長" 何が奇跡だったのか
(2015年・NHK)
NHK総合 NHKスペシャル

b0189364_812423.jpg勝ちに不思議の勝ちあり

 戦後70年を記念して、戦後の日本の歩みを振り返ろうという企画で、実質的には日本現代史のレビューである。
 第1回目は、1950年代後半から60年代にかけての高度成長期の話。敗戦とGHQの締め付けでズタボロになっていた日本経済だが、朝鮮戦争を機に軍需が増加し、その恩恵を最大限に受ける。結果的に日本経済は戦前のレベルまで復活する。だが朝鮮戦争終結とともにそれまでの特需は消え失せ、不況の風が吹き始める。
 一方で、国内には堅調な需要と旺盛な供給欲があったらしく、日本には成長のポテンシャルがあると予測した経済学者(下村治)もいた。そしてその後、首相の座に就いた池田勇人は、この下村の理論に基づいて「所得倍増計画」をぶち上げる。文字通り国民の所得(要はGNP)を10年で倍にしようというプランで、池田自身、それまで問題発言が多かった(とされた)こともあり、首相に就任するにあたって、この計画を政治生命をかけた起死回生の一大プロジェクトと位置付けたのだった。で、蓋を開けてみると4年でGNPが倍増したという、政策としてはこれ以上ない結果を生み出したんだが、池田勇人自身は任期中に癌になり、首相退陣後死去する。
 番組では、この「高度成長」がなぜ成し遂げられたかという分析が行われるが、一番の原因は下村が報告したように堅調な需要(庶民にとってほしいものが一杯あった)と旺盛な供給欲(メーカーにはあれこれ工夫していろいろなものを提供しようという意欲が高かった)に加え、戦後の団塊世代がちょうど成人になる時期と重なったことが大きいという。つまり、生産年齢の人口が一番大きいという人口構成になり(いわゆる「人口ボーナス」)、これが経済成長にとって理想的な条件だったというのだ。たまたまそれを利用できたことから「奇跡」と謳われる経済成長を実現できたというのがこの番組の主張である。もちろん池田内閣では意図して経済政策の舵をとったわけで「たまたま」というのは言いすぎかも知れないが、一国の政策が成功するかどうかなんちゅうものは大体が水物である。日本にとってはラッキーだったんだろうなと思う。
 番組は途中、五木寛之らが登場して対談形式になるが、やや冗長。もう少し凝縮して現代史ものとして展開しても良かったように思う。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『戦後70年 ニッポンの肖像 (2) "バブル"(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『コミック昭和史 第5巻、第6巻、第7巻、第8巻(本)』
竹林軒出張所『日本の熱い日々 謀殺・下山事件(映画)』
竹林軒出張所『金環蝕(映画)』

by chikurinken | 2015-06-14 08:02 | ドキュメンタリー
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