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竹林軒出張所

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『中国でよみがえる雪舟』(ドキュメンタリー)

中国でよみがえる雪舟(2015年・NHK)
NHK-Eテレ ETV特集

『中国でよみがえる雪舟』(ドキュメンタリー)_b0189364_0431748.jpg残念ながら使い回しのネタ

 水墨画の巨匠、雪舟等楊が中国で再評価されているという主旨のドキュメンタリー。このネタについては以前『日曜美術館』かなんかで見たように思うが、内容もそれとかなり共通していたような気がする。まあ言ってみればテーマと映像の使い回しってことだろう(最近NHKの番組でこういったリサイクルが多いような気がする)。
 雪舟は明時代の中国に赴いて水墨画の修行をしており、そういういきさつを考えると中国で再評価されてもそれほど驚きに値しないが、ただこの「再評価」がどの程度中国社会で認知されているかは正直言ってわからないところである。NHKが、一部の雪舟好きの中国人学者にことさら注目して、話を大きくしているような感がなきにしもあらずだ。
 それはさておき、雪舟に注目しているというある中国人学者によると、雪舟の魅力は漢民族の文化的黄金時代と言える南宋時代のスタイルが反映されていることにあるという。中国ではかつて文化大革命で歴史的な文化が大量に破壊されてきたといういきさつがあり、今では南宋時代のものはあまり残っていないらしいが、その点日本には南宋の影響を受けた文化が割合残っており、そういうのを再評価したいと考える人々が中国に現れているというのが真相のようである。この番組では、鎌倉の建長寺の三門や円覚寺舎利殿も南宋文化を伝えるものとして紹介されていた(たしかに舎利殿は唐様建築として有名ではある)。
 番組全体としては雪舟云々より、だんだん「日本に残る南宋文化」みたいなテーマになっていった。もちろんそれはそれで文化史的に非常に面白いテーマではあるが、一貫した大きな主題が欠けていたようにも感じ、少々乱雑な印象が残った。
★★★

参考:
竹林軒出張所『中谷美紀 日本ノ宝、見ツケマシタ 第2話(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『高倉健という生き方(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『京都のゴッホ展 ……あんこも欲しいじゃないか』
by chikurinken | 2015-04-14 00:44 | ドキュメンタリー
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