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竹林軒出張所

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『岡部まり シンプルライフ』(本)

岡部まり シンプルライフ
岡部まり著
産経新聞出版

テレビで見る岡部まりと
少し印象が違った


『岡部まり シンプルライフ』(本)_b0189364_840391.jpg 先日触れたテレビ番組『探偵!ナイトスクープ』で、永らく「秘書」役を務めていた、タレントの岡部まりの自伝エッセイ。
 岡部まりは、『ナイトスクープ』に登場する前の『Ryu's Bar きままにいい夜』という番組(村上龍がホストを務めてゲストに話を聞くという番組)に出ていたときから有能さを見せており、村上龍のホストとしての駄目さを補ってあまりあるような存在感がひときわ目を引いた。『ナイトスクープ』でも、あの強烈な個性を持つメンバーたちの中で存在感を発揮していたが、それを考えるとテレビという媒体に合ったタレントなんだろうなと思う。
 そんな岡部まりも、2010年に参議院選挙に出馬するということになり(結果的に次点で落選)、それにあわせて『ナイトスクープ』も降板。それ以来、あまりテレビで目にすることはなくなった。出馬の事情がよくわからないのに加えて、今何をしているんだろうという興味もあって、この本を読んでみた。
 本書は5章構成で、それぞれに「生まれる」、「生きる」、「生かされる」、「生かす」、「生まれ変わる」というタイトルが振られていて、著者らしいおしゃれな工夫が見受けられる。基本的には時系列で生い立ちから紹介されており、タレントになったいきさつ、『Ryu's Bar』や『ナイトスクープ』に出るようになった事情、それぞれの番組に対する思いなどが淡々と記述されていく。もちろん参議院選挙出馬の事情も書かれている。本書を読む限り、小沢一郎にほだされたという見方をしても良いような気がする。最後の章では、東日本大震災で考え方が大きく変わったことが紹介され、シンプルライフを目指すべきという考えに至った事情が書かれる。最後の章は完全に「エッセイ」であり、エッセイストと呼ばれる岡部まりの面目躍如……なのかな。
 それにしても著者が主張している内容はあまり伝わってこず、ピンと来ない上、なんだか決定的に僕とは根本的な考え方が異なるような印象さえ受けた。彼女の提唱するシンプルライフには賛成だが、そこに至るまでの過程に違和感を感じるというか、とにかく何かが違うという印象は最後まで残った。そのために著者に対しては、テレビで見る岡部まりと違って、あまり良い印象を持たなかった。
 また、推敲が足りないと感じられる文章の他、誤植があちこちに見られたのも気になる点である。編集担当者はもう少し校正を重ねるべきではなかったかと思う。
★★★

参考:
竹林軒出張所『全国アホ・バカ分布考(本)』
by chikurinken | 2014-11-02 08:40 |
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