アフガニスタンで手足を失って 〜“簡易爆弾”被害の実態を撮る〜
(2013年・英Minnow Films)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー
身を削って行う告発は説得力がある ガイル・デューリーというイギリス人のフォト・ジャーナリストがこのドキュメンタリーの主人公。デューリーは、2011年、アフガニスタンで米軍に同行して取材していたが、そのときに小型爆弾に触れ、片手、両足を失う羽目になった。実は命の危険さえあったんだが、米軍の救出活動が迅速だったこともあり九死に一生を得た。
やがて彼は、義手と義足を付けて社会復帰を果たし、写真も撮れるようになる。そこで思い付いたのが、再びアフガンに赴き、同じような爆弾や地雷の被害者(手足を失った人々)の写真を撮影することで、アフガンの現状を世界に発信したいということだった。もちろんアフガンにはトラウマみたいなものがあって精神的には厳しいが、使命感でそれを乗り越えながら活動を続けるというドキュメンタリーである。
このドキュメンタリー自体、アフガンの現状を告発する上で大きな役割を果たしており、デューリー自身が感じている使命感を代行する役割を果たしている。この番組を見ることで、アフガンの惨状がよくわかるし(子どもの被害者も多い)、アフガンの医療設備の不足を考えると、同じような事故に遭った場合、デューリーのように命が助かるとは限らないのが現状というのもわかった(実際に、アフガン人がNATOの病院から治療を断られるケースも多いという)。その意味で非常に有意義なドキュメンタリーであると言える。デューリー自身も自らの身体を曝すことでその使命を果たそうとしているのがよくわかり、頭が下がる思いがした。
2013年AIB国際メディアコンクール国際時事ドキュメンタリー部門最優秀賞受賞
★★★☆参考:
竹林軒出張所『爆弾処理兵 極限の記録(ドキュメンタリー)』竹林軒出張所『人体と機械の融合を求めて(ドキュメンタリー)』