山賊の娘ローニャ(2014年・NHK)
絵コンテ・監督:宮崎吾朗
原作:アストリッド・リンドグレーン
脚本:川崎ヒロユキ
出演:白石晴香、宇山玲加、関貴昭、野沢由香里
この後ちっとは面白くなるんだろうか NHKで初めて長編アニメーションが放送されたのは1978年。世間にはNHKでアニメなんて……という声もありながら、僕自身もNHKのアニメなんか……と思いつつ、少し放送を見てみただけですっかり虜になってしまった。このアニメこそ、宮崎駿が初めて監督した
『未来少年コナン』で、あれから36年経った今、息子の宮崎吾朗がNHKでアニメを作成するという。しかも宮崎駿がかつてアニメ化を望んでいたという『山賊の娘ローニャ』だってんだから、どうしても興味が湧くというもの。
このアニメは、従来のようにセル画で映像を動かすのではなく、CGでモデリングしたものにアニメ風のマチエールを貼り付けて絵を動かすという新しい手法で作成されている。従来のアニメがアナログならこのアニメはデジタルと言えるものだが、実際に映像を見てみると絵に味がないのが実感される。一見従来のアニメと違うようには見えないんだが、空気が抜けたというか魂が抜けたというか、なんだかあちこちで違和感を感じる。これがデジタルの限界なのか知らんが、これならば従来型のセルアニメの方がはるかに良い。もっとも納期などの制約のためにこれからはCGじゃなければダメということであればそれもまた仕方ないが、いずれにしてももう少し改善の余地はあると思う。少なくともこれじゃあ見るに堪えない。
また、まだ全26話のうちの3話しか放送されていないが、ストーリーはまるで目を引くところがなく、ここまでまったく面白くない。これが果たして今後面白くなるのかよく知らないが、少なくとも僕はもう見るのをやめようと思う。最初にある程度の盛り上がりを持ってくるのがドラマのミソだと思うんだが。宮崎吾朗作品は、悪くはないが、どれもおとなしくて面白味がないという印象が強い。背負うものが大きいせいかわからないが、それはこの『ローニャ』にも共通していて、もう少しはじけちゃっても良いんじゃないかと思う。
★★☆参考:
竹林軒出張所『ゲド戦記(映画)』竹林軒出張所『コクリコ坂から(映画)』竹林軒出張所『未来少年コナン (1)〜(12)(アニメ)』