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竹林軒出張所

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『ヒトラー 権力掌握への道 前後編』(ドキュメンタリー)

ヒトラー 権力掌握への道 前編後編
(2011年・仏CC&C/France 2)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー

b0189364_7491846.jpgカラーで現実感を感じる
成り上がりヒトラー


 第一次大戦後、ヒトラーが権力を握るまでの過程を記録映像で辿るドキュメンタリー。ただしここで使用される映像は、モノクロ映像をカラー化したもの。前に紹介した『カラーでよみがえる第一次世界大戦』の続編みたいな位置付けになるのか。ただし製作局は異なる。
 第一次大戦時一介の伝令兵だったヒトラーが、その後国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)を結成し、策略を駆使しながら支持者を徐々に増やしていって、ついには首相、総統になって権力を掌握するまでが丹念に描かれる。
 ヒトラーの口当たりの良い言葉は、当時巨額の戦後賠償金とハイパーインフレに苦しんでいたドイツ庶民の支持を集めていくが、それでも当初は得票率も大したことはなく、ヒトラーに反感を持つ勢力もそれほど危惧は感じていなかった。だが、世界恐慌などのために社会情勢が不安定になってくると、共産党が台頭し、それにあわせて反共を旗印に掲げたナチスも台頭してくる。双方暴力と策謀を駆使し、やがてナチスが共産党を駆逐することに成功し、ドイツ国会でも絶対多数を占めるようになる。
b0189364_7503243.jpg ヒトラーの映像と言えば、国会や党大会での演説くらいしか見ることがないために、当初から超人のような力で権力を掌握していたかのように感じられがちだが(これはナチスのプロパガンダの巧妙さによるんだろうが)、このドキュメンタリーで示される下積み時代のヒトラーは、ただの野心家に過ぎず、周囲の人間にヘコヘコしたりもしている。後のヒトラー像とギャップがあり、そのために、ヒトラーが成り上がった様子が見て取れて、大変興味深い。どんな社会でも、こういった利己的な野心家が、口当たりの良い言葉で成り上がって不幸をまき散らすのは起こりうることで、それはユーゴをはじめ、ちょっと歴史を振り返ってみたらわかることである。今の日本でも同じことで、正直このドキュメンタリーを見ていてちょっと恐怖を感じたりもしたんである。当時のドイツと今の日本とはいくぶん共通項もある。デマゴーグに長けた人間が公職に就いて、口当たりの良い言葉で支持を集めるということも、ここ20年ほどの日本の政界でよく起こっていることである。常に注意を喚起しておかなければなるまいと思いを新たにした歴史ドキュメンタリーであった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『カラーでよみがえる第一次世界大戦(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ヒトラー 権力掌握への道 前後編(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ヒトラー暗殺計画』(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ヒトラー 最後の日々(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『ヒトラー「わが闘争」封印を解かれた禁断の書(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『映像の世紀 第1集〜第4集(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『新・映像の世紀 第3集(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2014-10-10 07:51 | ドキュメンタリー
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