プチクリ 好き=才能!
岡田斗司夫著
幻冬舎
人たらし、岡田斗司夫の本領発揮
ドラマ
『アオイホノオ』で、少し奇怪な岡田トシオが登場するんで、そのモデルである岡田斗司夫にも少し興味が湧き、今回著書を何冊か読んでみた。その中で、僕がもっとも優れものと思ったのが本書。
要は、自分の才能を活かしたいと考えているクリエイター志望の人々は、必ずしもプロを目指す必要はなく、自分で楽しめる範囲でクリエイトすれば良いという提案で、それが著者の言うプチクリである(プチクリ=プチ・クリエイター)。実際、プロのクリエイターもおおむねそういうところを通過してプロになったわけで、しかもプロになったからといって必ずしも幸せとは限らない。いっそのこと、幸せを感じられる範囲で創作活動を続けていき、それを完全に趣味でとどめるのも良し、売るのも良し、いずれにしても成り行きで自分の好きを追求すれば良いじゃないか……というのが本書の主旨である。しかもなおかつ、誰でも「何かが好き」というものがあれば、その「好き」がそのまま創作活動になりうるということまで言い切っていて、「好き」を創作につなげるための方策まで紹介している。つまり誰でもクリエイターになれると言っているわけだ。
これを読むと、岡田斗司夫が個性的なメンバーたちを集めてガイナックスを起業したというのも頷ける気がする。彼は人たらしである。こうやって周囲の人間を乗せていったんだなということが窺われる。
先ほども言ったが、岡田斗司夫の本を今回他にも何冊か読んだが、基本的に彼の主張は独断が多く(善意に基づいているようだが)、読んでいるうちにうんざりしてくるものが多い。だがこの本についてはなかなか良い。自分を見失っている大勢の若者に勇気を与えられる本だと思う。
★★★☆
参考:
竹林軒出張所『アオイホノオ (1)〜(6)(ドラマ)』
竹林軒出張所『アオイホノオ (7)〜(11)(ドラマ)』
竹林軒出張所『アオイホノオ (2)〜(4)(本)』
竹林軒出張所『オタクの息子に悩んでます(本)』