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竹林軒出張所

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『卒業』(映画)

卒業(1967年・米)
監督:マイク・ニコルズ
原作:チャールズ・ウェッブ
脚本:バック・ヘンリー、カルダー・ウィリンガム
出演:ダスティン・ホフマン、キャサリン・ロス、アン・バンクロフト、マーレイ・ハミルトン

ほろ苦すぎる青春の蹉跌

『卒業』(映画)_b0189364_9321439.jpg これもアメリカン・ニュー・シネマを代表する映画で、ダスティン・ホフマンのデビュー作でもある。
 大学を卒業したが将来のあてがなく不安を感じている優等生が主人公。この若者が躓きながらも、光明を見出して一歩踏み出すというのがストーリーの核だが、プロットは非常に凝っている。ややもすると荒唐無稽に陥りそうな題材を集めているが、非常にうまくつなげていてリアリティを感じさせる。
 演出は正攻法だが、クライマックスに向かって疾走していく構成は見事。このあたり、序盤に主人公の心情を反映したようなぬるめのショットが多用されているのと好対照になっている。また、主人公の心の揺れを絶妙に表現した演出もすばらしい。
 この映画、初めて見たのは中学生のときで、テレビの映画劇場(『月曜ロードショー』)で見たんだが、見終わった後やけに感動してしまって放心状態になった。その後、ビデオなどで何度か見た他、原作小説も読んだりしたが、今回も最初に見たときと同じような感動があった。非常に好きな映画で、この映画には文句の付け所はないだろうと思っていたんだが、Amazonのレビューで非常にネガティブな評価(今の時代には受けないみたいな)をしている文章があったのはちょっとばかり衝撃だった。もちろん人それぞれ感じ方はあるだろうが、難癖付ける要素はこの映画にはないと思うんだがな……。
 それから言うまでもなく、この映画で使われているサイモンとガーファンクルの音楽も秀逸である。僕自身、中学生のときにこの映画のサントラ版を買ったほどで、受験勉強のときの題材としても「サウンドオブサイレンス」、「スカボローフェア」、「4月になれば」を使わせてもらった(大学受験ラジオ講座で取り上げられていた)。いろいろ懐かしい素材が詰まった映画でもある。
★★★★

参考:
竹林軒出張所『俺たちに明日はない(映画)』
竹林軒出張所『シルクウッド(映画)』
竹林軒出張所『ジョンとメリー(映画)』
竹林軒出張所『クレイマー、クレイマー(映画)』
竹林軒『大学受験ラジオ講座回顧』

by chikurinken | 2014-09-15 09:32 | 映画
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