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竹林軒出張所

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『路傍の石』(映画)

路傍の石(1964年・東映)
監督:家城巳代治
原作:山本有三
脚色:家城巳代治
音楽:木下忠司
出演:池田秀一、淡島千景、中村賀津雄、佐藤慶、風間杜夫、水原まき、清川虹子

この後少年はどうなるのだろうかと心配しつつも
原作とストーリーが違っていることに気付く


b0189364_8271012.jpgネタバレ注意!
 山本有三原作の教養小説『路傍の石』の映画化。この映画も、過去何度も(少なくとも4回)映画化されている。
 主人公の吾一(池田秀一)は学業優秀だが、家が貧しいため中学に進学できず、同級生の両親が経営する呉服屋に奉公に出る。そこであるいは屈辱的な扱いを受け、あるいはいじめに遭いながらも、学問を志し、前向きに生きることを誓うというストーリーで、呉服屋を飛び出し上京するところで話が終わる。いたいけな子どもがつらい体験をするのは見ていてつらいものがあるが、「溜めて溜めて爆発」というパターンで、見る方はある程度溜飲を下げられるような展開にはなっている。ただ、上京しても苦労するのは目に見えているし、頼っていった小学校時代の先生もどうなっているかわからないわけで、上京後どうなるかは非常に気になるところではある。
 前も書いたが、僕の幼少時、今は亡き父がやけに『路傍の石』を勧めていて、それで以前テレビでも映画版を見たことがあったんだが、そのとき見た作品とはストーリーが若干違っている。当時、随分古い映像という印象があったので、この映画ではなく38年版か55年版だったのかも知れない。で、ちょっと原作のストーリーを調べてみたんだが(読んでないんで……)、この映画、原作小説と大分ストーリーが違う。原作では母親が死んだことがきっかけで(ろくでなしの)父親を頼って上京することになっているが、この映画では母は死なないし、頼っていくのも父親ではなく先生である。ちなみに原作では上京後の苦労も十二分に描かれるようだが、本質的に映画と原作でストーリーが違うので、別の話と考えなければならないんじゃないかとも思う。
 映画では、社会の理不尽なありように対する批判が随所に見て取れるが、このあたりは原作と共通するようだ。作者の山本有三も幼少時代呉服屋に奉公に出されたということで、そのときの経験が多分に反映しているのかも知れない。
 この映画、公開当時は『狼少年ケン』と併映だったそうで、そうすると、子ども向け、あるいは親子向けの企画として作られたと考えることができる。そういうこともあってか、映画自体は非常にわかりやすい作りになっている。小学生が見ても共感できるような内容になっていて、作りも非常にしっかりしている。なお、主人公の母親は、同じく山本有三原作の『真実一路』でお馴染みの淡島千景、先生は中村賀津雄(若い!)、ろくでなしの父親は佐藤慶(こちらも若い!)がそれぞれ演じる。番頭や小番頭(織田政雄)も好演で、脇に名優がずらっと揃っているという印象である。それから友人の京ちゃんは、子ども時代の風間杜夫が演じているが、こちらは最後まで気が付かなかった。主人公の少年を演じた池田秀一は、聡明そうで吾一に実によく合っているが、この俳優、その後『機動戦士ガンダム』の「シャア」役で声優として大ブレークしたらしい。今や俳優よりも声優として活躍中。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『真実一路(映画)』
竹林軒出張所『裸の太陽(映画)』

by chikurinken | 2014-03-28 08:27 | 映画
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