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竹林軒出張所

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『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』(本)

第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい
マルコム・グラッドウェル著、沢田博・阿部尚美訳
光文社

b0189364_750548.jpg話のネタ本に良いかも

 アメリカで話題になっているマルコム・グラッドウェルの第2作目。マルコム・グラッドウェルは、元々『ワシントン・ポスト』の記者で、その後フリーのライターになったという経歴を持つライター。
 前著『ティッピング・ポイント』と同様こちらも、さまざまな実験データを引用して、人間の直感が正しい状況を紹介していくが、雑多でとりとめがない印象である。副題になっている「最初の2秒の「なんとなく」が正しい」というのが本書のテーマなんだろうが、直感が正しくない状況についてもかなり紙数を割いている。結局のところ「何かを判断する上で直感が正しい場合もあるが正しくない場合もある」ということがテーマになるのか。そうするとテーマ自体は至極当たり前でさして面白味はないが、本書の中で行われている議論については興味を引く部分があった。特に第6章の、人間の心情が常に表情に現れているという研究の話や、危機的な状況になると本能的な部分以外のすべての思考回路が停止するなどという説は非常に興味深い。いずれは本書で紹介されている著者の文献に当たってみたいところではある。とは言うものの、全体的にはこういう面白い話を引っぱり出してきて、内容を面白おかしく紹介し、自分なりの結論を導いているだけという印象も残る。
 そういう意味でも前著と非常に似たたたずまいで、いろいろな研究や実験について面白く語ってくれるが、なんだか怪しい印象が常につきまとう。テーマがぶれがちで明確でないためもあるんだろう。結局は世間話みたいな内容で終わってしまうのがこの著者の特徴と言える。ただ先ほども書いたように、ダラダラと読んでいると目を引くような記述もあって、そこから別の領域に興味の触手を延ばすことができるのは大きな長所である。したがって前著『ティッピング・ポイント』の記述に従えば、この人は「メイヴン」(通人)というよりも「セールスマン」に近いと言える……かな。この人の面白おかしいネタ話に触発されて、専門家によるしっかりしたテーマの本に進めば良いということだ。なおタイトルの「第1感」は訳者による造語(もっとも将棋の世界では「第1感」という言葉、よく使うが)で、原題は『Blink』つまり「ひらめき」である。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『天才! 成功する人々の法則(本)』
竹林軒出張所『ティッピング・ポイント(本)』

by chikurinken | 2014-03-18 07:50 |
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