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竹林軒出張所

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『シベールの日曜日』(映画)

シベールの日曜日(1962年・仏)
監督:セルジュ・ブールギニョン
原作:ベルナール・エシャスリオー
脚本:セルジュ・ブールギニョン、アントワーヌ・チュダル
撮影:アンリ・ドカエ
音楽:モーリス・ジャール
出演:ハーディ・クリューガー、パトリシア・ゴッジ、ニコール・クールセル、ダニエル・イヴェルネル、アンドレ・オウマンスキー

フランス映画版「子どもの情景」

『シベールの日曜日』(映画)_b0189364_15392967.jpg 30年近く前に一度劇場で見た作品だが、公園のシーンと「アルビノーニのアダージョ」を憶えていたくらいで、ストーリーはあまり頭に残っていなかった。ただ、主人公ピエール(ハーディ・クリューガー)と少女シベール(パトリシア・ゴッジ)の精神世界みたいなものははっきりと記憶にあって、そういう面の印象が強い。今回見直してみると、やはりこういった叙情的な要素が際立った少し不思議な映画である。
 記憶を失った男が、親に見棄てられた少女と出会い、そして毎週日曜日に公園で会うという話で、かれらのナイーブな心象風景が公園の実際の風景と重なって表現されていく。少し異色の映画で非常に斬新な印象を受ける。何でもロリコンの人々に支持されている映画らしいが、ロリコン的な感覚とはちょっと違った純粋な心情が染みてくる作品で、そういう点で僕は好きである。ちなみに僕はロリコンではないし、またロリコンの支持を集めるというのも第三者的に見てわかるが、そういう作品として決めつけられるようであればちょっともったいないと思う。
 なお、「アルビノーニのアダージョ」だが、記憶では全編を通じて流れていたような印象があったが、実際には1回しか流れていない。また舞台となる公園は、日本の街中にある児童公園タイプのものではなく、井の頭公園みたいな、池を持つ大きな公園である(ヴィル=ダヴレーというコミューンにある)。19世紀の画家、コローのアトリエが付近にあったようで(劇中で触れられている)、この池は現在「コローの池」と呼ばれているらしい。
1962年度アカデミー外国語映画賞受賞
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『かくも長き不在(映画)』

by chikurinken | 2013-09-04 15:40 | 映画
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