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竹林軒出張所

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『ホームレス大図鑑』(本)

b0189364_734151.jpgホームレス大図鑑
村田らむ著
竹書房

ホームレスルポ第二弾
本格的な潜入取材が光る


 『こじき大百科』の5年後に出版された同じ著者による「ホームレス」本。こちらは村田らむが単独で書いている。内容は前著とも大きくかぶるが、こちらの方が本としての体裁が整っていて読みやすくなっている。
 こちらも基本は全国のホームレス事情で、大阪(ニシナリ、天王寺)、東京(上野、新宿、隅田川)、名古屋の他、横浜の寿町や川崎も訪れて取材している。取材中は、やはり絡まれたり刃物で脅されたりということもあったらしい。とは言うもののフレンドリーなホームレスも多かったようで、彼らからいろいろな話を聞き出し、ホームレスのあれやこれやに迫ることに成功している。
 本の構成は、各地のホームレス事情を章立てで紹介し、その間に特集記事みたいなものを挿入するというもの。特集記事というのは「ホームレス生活百科」(ファッション、食事、住居、ペット、下半身など)、「ホームレス偉人伝」(尊敬に値するであろう3人のホームレスを紹介)などで、こちらも大変興味深い内容になっている。
 この本で特に目を引いた記事は、ほぼ無一文の状態でニシナリに入って、ホームレスを追体験するという企画である。ドヤ(簡易宿泊所)に泊まって、早朝になるとセンターと呼ばれる建物で手配師と仕事の交渉をしたりするところから始まり、やがて怪しげな屋台の仕事にありついたは良いものの、ひどい待遇で酷使され、最終的に逃亡するに至るというドキュメントである。都合2週間にわたって実際のホームレスと同じような生活を送っており、ちょっとした体験ルポになっている。描写は具体的かつ迫真的で、これだけで1冊の本にしても良いくらいの密度である。
 写真もふんだんに掲載されており、ホームレスの事情がかなり細かくわかるし、シニカルで気の利いたコメントがあちこちに出てきて楽しくもある。そういう意味でもよくできた本であると言える。ホームレスに対する視線は、前の本よりも優しくなっているような印象を受けた。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『こじき大百科 にっぽん全国ホームレス大調査(本)』
竹林軒出張所『私、パチンコ中毒から復帰しました(本)』
竹林軒出張所『路上のソリスト(映画)』
by chikurinken | 2013-08-28 07:34 |
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