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竹林軒出張所

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『大相撲のぶっちゃけ話』(本)

『大相撲のぶっちゃけ話』(本)_b0189364_840578.jpg大相撲のぶっちゃけ話
曙太郎著
宝島社

相撲界の内輪話と
あの黄金時代の回想


 宝島社の「業界ぶっちゃけ」シリーズ。他に愛甲猛の『球界のぶっちゃけ話』、畑山隆則の『ボクシング界のぶっちゃけ話』がある。
 内容はトリビアみたいなものが多く、飛行機や新幹線の移動は2席確保するとか、相撲取りは正常位でできるかとか、そういった類の話が多い。業界内部の暴露話がテーマのシリーズなのでその辺は当然か。ただこういった話はとりたてて面白いというものでもなくそれなりである。
 業界内情報で一番興味深かったのが力士の収入で(第3章「関取とお金」)、横綱の月給が282万円、重量の月給が103万6千円など、具体的に書かれている。その他に場所ごとに支払われる報奨金があり、力士によって違うが、一流の関取になると毎場所400万円ほどになる。上位力士になると懸賞金(1本6万円で、そのうち半分が力士に払われ、残りの5千円が相撲協会の手数料、2万5千円が税金用としてプールされる)の他、優勝賞金と副賞、三賞なども手に入る可能性が出てくる。さらにタニマチというスポンサーからもあれやこれやサポートがあるらしい。テレビ東京系の『解禁暴露ナイト』(竹林軒出張所『日本世間噺体系テレビ版』参照)に小錦が出たときも暴露話をしていたが、小錦自身がタニマチから2億円もらったこともあると言っていた(親方株購入費用として)。この本の内容も小錦が番組で話していた内容とほとんど符合する。
 こういった暴露話はまあそれなりである。この本で一番面白かったのはむしろその後で、曙が力士生活を振り返る第5章「あの一番」と第6章「ボクと若貴」の2章。貴乃花、若乃花との出会いやかれらとの取組、彼らへの思いが語られる。曙、貴乃花時代は言ってみれば大相撲の1つの黄金時代だったわけで、そのあたりの熱気も甦ってくるようである。全編に大相撲に対する愛情が感じられる本で、曙の人間性がよく出ていた(おそらく聞き語りだろうと思うが)。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『ボクシング界のぶっちゃけ話(本)』
竹林軒出張所『球界の野良犬(本)』
by chikurinken | 2013-02-27 08:42 |
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