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竹林軒出張所

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『パーク・アベニュー 格差社会アメリカ』(ドキュメンタリー)

パーク・アベニュー 格差社会アメリカ
(2012年・国際共同制作NHK/Jigsaw Productions/Steps International)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー シリーズ「世界の貧困」
演出:アレックス・ギブニー

b0189364_8472360.jpg 救いようのないアメリカの格差社会の実態を描く。
 アメリカではここ30年の間に格差が著しく拡大し、富める者はますます蓄財し貧困層はますます困窮するという悪しき状況が生みだされている。富める者達は、「努力した者が金持ちになれる」アメリカン・ドリームを体現する社会こそが重要であると訴え、「自由」な機会平等の社会を実現すべきとする。だが、富裕層と貧困層はあらゆる点で機会に大きな差があるというのが実態で、貧困層から金持ちになることは現実的にはほとんどあり得ないと言って良い。貧困は世代を超えて引き継がれていくのが現代の社会である。
 このような状況になったのは、富裕層が必要以上に優遇されるようになったため(税率が異常に低いなど)で、かれらは政界を取り込み、買収や圧力を駆使して、さまざまな金持ち優遇政策を引き出す。これがいわゆるロビー活動であり、このロビー活動に莫大な金をつぎ込むことでさまざまな利権を獲得するのである。こうして、金によって完全に支配された腐敗した政治世界がアメリカに体現することになる。「金持ちの金持ちによる金持ちのための政治」の実現である。
 今のアメリカを見ていると、先進国とは思えないと感じることが多いが、その状況をわかりやすく訴えたのがこのドキュメンタリーである。途中、有識者のインタビューを交え、データも示しながら、現在の悲惨な状況が告発される。こういうふうに、社会正義が失われた社会を見せつけられると何とかならないものかと思うが、富裕層の金の力はきわめて強く、超富裕層数百名がアメリカを支配する構図というのはなかなか覆りそうにない。だが、現状を知ると言うことは現状を変えることの第一歩であり、そういう意味でもこういったドキュメンタリーは貴重である。
 なお、タイトルの「パーク・アベニュー」だが、ニューヨークのパーク・アベニュー740番地が、超富豪の住む地域であることからついたタイトル。このドキュメンタリーは、パーク・アベニュー740番地の映像から始まり、その延長上にあるハーレムへと進んでいく。ちなみにハーレムは、ニューヨークの最貧困層が居住する一帯である。
★★★★

参考:
竹林軒出張所『スプリット 二極化するアメリカ社会(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『たまたま 日常に潜む「偶然」を科学する(本)』
竹林軒出張所『天才! 成功する人々の法則(本)』

by chikurinken | 2012-12-05 08:48 | ドキュメンタリー
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