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竹林軒出張所

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『日本世間噺体系』テレビ版

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 昨日、テレビ東京系で木曜深夜に放送されている『解禁! 暴露ナイト』というバラエティ番組を見た。ちょっと変わった分野のゲストを呼んで話を聞くという番組で、話を聞く側のレギュラーが、名倉潤、河本準一、菜々緒の3人。ということはどう見ても、その前に放送されていた『くだまき八兵衛』をそのまま引き継いで焼き直した番組である。ちなみにこの『くだまき八兵衛』だが、居酒屋でくだを巻いているレギュラー陣のところにゲストが相席をして、専門的な話を披露するというオール居酒屋ロケの番組で、コンセプトは面白かったがゲストによって番組の質が大幅に左右されていたため、当たり外れがかなり大きかった。それにゲストにコアな人々が出てくると、居酒屋での無駄話というコンセプトに必然性がなくなってくる。むしろインタビュー番組にしてしまった方が良いという面があった。また、企画段階から関わっていたと思われるオセロ中島知子が途中から出なくなってしまったこともあって、初期のコンセプトが大幅に変わったような部分もある。おそらくそういう塩梅で実質的なリニューアルという運びになったんではないかと予想される。
 11月1日深夜に放送された分では、4人のゲストが登場したんだが、その4人全員がコアな話を披露して、その内容がまったくもって規格外だった。めったに聞けない話が次々に出てきて、インタビュー番組のポテンシャルを見せつけられた。
 登場した1人目はオウム真理教に4回殺されそうになった弁護士(滝本太郎)、2人目は「吉展ちゃん事件」に立ち会った元監察医、3人目は実際に死刑執行に立ち会ったことのある元刑務官、4人目はかつて著名芸能人の逮捕に立ち会った元麻薬調査官。経歴だけでも興味を持ってしまうような面々である。で、案の定、ちょっとよそでは聞けないようなヘビィな話が次々と繰り出されてきて、僕などはどの話も聞き入ってしまった。話の内容はどれも非常に具体的で、初めて聞くようなものも多かった。特に元刑務官は、死刑がどのように執行されるか事細かく説明し、同時に、日本の死刑執行が受刑者の尊厳を踏みにじらないよう非常に配慮されていると主張していた。一般的にこの時間帯は眠気が襲ってくることが多いが、見始めた頃の眠気は途中でどこかに消し飛んでしまった。さながら『日本世間噺体系』のテレビ版といった趣で、いっそのこと、それぞれの人達に1回ずつ割り当てても良かったくらいの内容充実度であった。
 ましかし、これだけの内容を伴ったゲストを毎回呼ぶのも難しいだろうし、『くだまき八兵衛』同様、回によってグレードが変動するのはある程度予測できる。ただ次回以降も期待させる、ちょっと興味深い、テレビらしいバラエティ番組であるのは確かである。テレビ東京系の深夜枠はここのところ充実していて、20年前のフジテレビの深夜枠に迫るような勢いがある。もう終わったが『極嬢ヂカラ』という番組も、深夜枠にふさわしいインパクトのある番組だった。今後も少し注目しておこうと思っている。

参考:
竹林軒出張所『小説より奇なり(本)』
竹林軒出張所『死刑(本)』
竹林軒出張所『「反復練習が上達を生む」の実証 - 「ひたすら一万回」』
竹林軒出張所『アドリブの相乗効果 - 「YOUは何しに日本へ?」が面白い』

by chikurinken | 2012-11-03 08:43 | 放送
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