不良少女モニカ(1952年・スウェーデン)
監督:イングマール・ベルイマン
原作:ペール=アンデシュ・フーゲルストルム
脚本:イングマール・ベルイマン
出演:ラーシュ・エクボルイ、ハリエット・アンデルセン、オーケ・グリュンベルイ
真面目に人生を送っている青年が、勝ち気な「不良」少女と恋に落ち、ひと夏をともに過ごすというストーリー。原題は「Sommaren Med Monika」(Summer With Monika)で「モニカとの夏」くらいの意味。ベルイマンは男女関係を非常に冷徹に描くという印象を僕は持っているが、この映画もまさにそれ。一言で言えば「若気の至り」ってことなんだろうが、なかなか厳しい。
結構、性に開放的な映画で、当時はそういう点もインパクトがあったみたいだが、今の感覚から見るとわりに自然に描かれていて違和感はない。とにかくモニカが本能的かつ動物的で、性的というより野性的な印象が残る。魅力的だが、分別があればあまり近付くことはないだろうというキャラクターである。
映画の展開自体は、70年代のアメリカ映画、
『ラスト・ショー』に近いかも知れない。淡々と出来事を追っていくような手法も似ていると言えば似ている。
小悪魔的な魅力の少女に惹かれてしまうというのも『ラスト・ショー』と同様。『ラスト・ショー』は若い頃見たんで嫌悪感の方が先に立ったが、この映画も若い頃に見ていたらかなり不快に感じたかも知れない。良い年になった今見ると、なんとなくほろ苦い青春みたいにも感じられ、主人公に対して「これからまあがんばれや」みたいな気持ちになるから不思議なもの。若い世代はこういう映画や小説に触れることで疑似経験すれば人生あまり間違わないかもしれない。完成度は高いが、後味が少し苦く、何とも言えない映画であった。
★★★☆参考:
竹林軒出張所『処女の泉(映画)』竹林軒出張所『野いちご(映画)』竹林軒出張所『ラスト・ショー(映画)』