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竹林軒出張所

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『ちびっ子レミと名犬カピ』(映画)--馬淵晴子追悼--

b0189364_7542646.jpgちびっ子レミと名犬カピ(1970年・東映)
監督:芹川有吾
作画監督:大工原章
原作:エクトール・マロー
脚本:瀬川昌治
音楽:木下忠司
出演:声の出演:朝井ゆかり、フランキー堺、三島雅夫、市原悦子、富田耕生、馬淵晴子、桂玲子、内海賢二

 エクトール・マローの『家なき子』が原作の子ども向けアニメ。1970年春の「東映まんがまつり」で上映されたもの。併映は『タイガーマスク』、『ひみつのアッコちゃん』、『チュウチュウバンバン』で、子どもの頃実際に見に行ったはずだが、『ちびっ子レミと名犬カピ』以外憶えていない。『タイガーマスク』は「覆面ワールドリーグ」の回を劇場で見た記憶はあるが、これがそれだったのかも知れない。『ちびっ子レミと名犬カピ』については、その後も小学校の映画会で見たりしてるんで、今回が3回目か4回目ということになる。
 子ども向けアニメなもので、猿や鳥なんかも人間の言葉をしゃべったりして、その辺はちょっと興ざめなんだが、しかし情景の描写は非常に洗練されていて、映像的にはなかなかのものである。冒頭と最後に『ミッデルハルニスの並木道』(ホッベマ作)の絵が出てきたりして、随所に凝った作りが見受けられる。演出はやや幼稚な部分もあるが、しかし見る側を飽きさせない工夫と考えることもできる。
 声優陣も非常に豪華で、フランキー堺、三島雅夫、市原悦子、馬淵晴子ら俳優陣がプロの声優に混じって互角の演技を繰り広げている。フランキー堺は、声色を変えていて、声を聞いただけでは顔も思い浮かばない。「フランキー堺が参加している」ということを知らなければ最後まで気がつかないんじゃないかと思うほどだ。三島雅夫に至っては、元オペラ歌手の役だったこともあって、「アヴェマリア」まで朗々と歌っているほどである。大したもんだ。
 音楽は木下忠司が担当しているが、全体的にドラマの『水戸黄門』調で、『水戸黄門』の音楽に慣れている者としては少し笑ってしまう(竹林軒出張所『藍川由美「喜びも悲しみも幾歳月 〜木下忠司作品集」(CD)』を参照)。
 音楽でもう一つ驚いたことがあるんだが、主人公のレミと実の母の別れのシーンで、テレビアニメ『タイガーマスク』の最終回に使われていた音楽が出てきた。『タイガーマスク』の最終回はあまりに衝撃的でそのために音楽も記憶しているんだが、あの音楽が突然出てきたんで驚いてしまったが、ネットにも似たような情報が見つかった。存外有名な話だったのかも知れないが、時代的に考えるとこちらの音楽が『タイガーマスク』で流用されていたということらしい。ちなみに『タイガーマスク』の音楽担当は菊池俊輔だが、木下忠司の弟子筋に当たるんで、その辺で何か「使わせてくれ」みたいな話があったのかも知れない。
 ともかく、映画の内容以外にいろいろ見所の多い映画であったのは確かである。もちろん映画自体もなかなか楽しめる良い映画だった。「子ども向け」という注意書きは付くが。
★★★

参考:
竹林軒出張所『空飛ぶゆうれい船(映画)』
竹林軒出張所『藍川由美「喜びも悲しみも幾歳月 〜木下忠司作品集」(CD)』
by chikurinken | 2012-10-06 07:55 | 映画
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