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竹林軒出張所

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『家で死ぬということ』(ドラマ)

家で死ぬということ(2012年・NHK名古屋)
演出:佐藤譲
脚本:大島里美
出演:高橋克典、渡辺美佐子、西田尚美、山口紗弥加、庄野崎謙、佐藤正宏、 国広富之

b0189364_7464964.jpg 『病院で死ぬということ』という映画があった(竹林軒出張所『病院で死ぬということ(映画)』参照)が、テーマはあれと同様で、どういう死に方をすべきかという話である。
 舞台は世界遺産の白川村で、ある家に嫁入りし、大舅、舅、姑、夫を介護し見とってきた主人公、ひさ子(渡辺美佐子)が、今度は自分が末期ガンになるが、死を迎えるに当たって介護施設ではなく家で死にたいと思うという話。ちなみにこのひさ子婆さんだが、現在1人暮らしで、1人娘、恵美(西田尚美)は東京で暮らしており、すでに結婚し、成長した子どもも2人いる。アクセサリーだかなんだかの店を持っており、その収益が家計を支えているらしい。夫(高橋克典)はといえば、有名家電メーカーに勤めるエリートだが、メーカー自体が外国のメーカーに払い下げられ現在閑職に就いている。そういう状況で、恵美が夫に、ひさ子の元に行って東京の病院に入ることを奨めるよう求めるところから話が始まる(夫に仕事を休んで自分の母の面倒を見ろというのは随分身勝手な話で、この恵美というキャラには、全編にわたって身勝手な人間という印象がつきまとう)。
 結局、この夫は、現在就職浪人中の長男を連れて白川村に赴き、一緒に暮らすようになって、ひさ子の生き様を間近に感じるようになっていくというストーリーである。このあたりの展開は使い古しのネタで、その過程で田舎暮らしの素晴らしさが表現されるというのも「ザ・定番」である。
 全体的にしっかり作られたドラマで、ホロッと来るようなシーンもあり見せるドラマになっているが、いかんせん使い古しのネタがあちこちに出てくると、それだけでとたんに白けてしまう。人の好い隣人(佐藤正宏)が、主人公の夫を田舎暮らしにうまいこと引き入れ田舎の魅力を吹き込むような展開も、(ドラマとして)あまりにありふれている。もう少し工夫があったら良かったねと思う。
 「家で死ぬ」という核心の部分にしても、テーマにも展開にも目新しさがあまりなく、少しもの足りない印象である。ただしドラマとしては完成度が高くよくできているのは事実で、「しょせんドラマ」というような見方をするならば佳作と言えなくもない。だがそれはドラマに対してちと失礼というものである。このドラマが放送されたのはNHKの土曜ドラマスペシャルの枠だったが、このドラマの後も『あっこと僕らが生きた夏』『永遠の泉』という、死について考えるドラマが続いて、NHKの意欲が感じられる編成になっていた。だがどのドラマにも共通して言えるが、ストーリーの作り手の力量がちょっと不足しているような気もする。そのあたり今のテレビ業界の限界なのかと思ったりもした。
 そうそう、今日、このドラマのDVD(『家で死ぬということ 完全版』)が発売になるそうだ。DVDが出るくらいだから、放送当時結構評判になっていたのかも知れない。
★★★☆
by chikurinken | 2012-07-27 07:47 | ドラマ
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