永遠の泉(2012年・NHK)
演出:西谷真一
原作:藤原新也
脚本:金子成人
出演:寺尾聰、鈴木杏、山本耕史、奥貫薫、田中美佐子、小日向文世
妻殺しで逮捕された男の無実を晴らす弁護士の話で、話が展開するうちに、逮捕された男と妻の関係、弁護士とその死んだ妻の関係、弁護士と娘の関係などがあぶり出されていく。伏線がたくさんあるのはドラマの厚みを増す役割を果たすものだが、このドラマについてはもう少し整理した方が良いような気がする。それほど複雑ではないのでややこしくはないが、なんとなくピントがはっきりしないというか、ドラマ自体印象がやや薄い。いくぶんとってつけたような話でもある。
このドラマも死がテーマで、原作は藤原新也だという。藤原新也が小説を書いていたことはまったく知らなかったが、なるほど藤原新也かと思うようなテーマではある。サスペンスタッチという触れ込みのドラマだったが、最初から種が明かされるのであまりサスペンスという感じではない。そういうことよりも洋裁屋夫婦のあり得ないくらいのラブラブさが異様に見えた。リアリティ云々より、少し気味悪ささえ感じてしまった。全体的に作りすぎの感はぬぐえず、ストーリー展開がややご都合主義的かなという感じもする。
ドラマの演出は正攻法で、映像も美しい。回想が非常に多いのは、話の展開を考えると致し方ないかとも思う。割合よくできたドラマであると思うが、作りすぎで嘘臭いストーリーのためか、印象はあまり残らなかった。
★★★☆