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竹林軒出張所

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『激走! 富士山一周156キロ』(ドキュメンタリー)

激走! 富士山一周156キロ〜ウルトラトレイル・マウントフジ〜
(2012年・NHK)
NHK-BS1 BS1スペシャル

b0189364_7331355.jpg 2012年5月に山梨・静岡両県で開催されたウルトラトレイル・ マウントフジを紹介するドキュメンタリー。
 この行事、ヨーロッパで盛んといういわゆる100マイル・トレイルレースの日本版ということで、アジア発の本格的トレイルレースだそうだ。番組は前・後編に分かれていて、前編はトップ・トレイラーによる優勝争い、後編は一般参加者の完走を目指した奮闘にスポットを当てる。こういうレースでは、第三者としてはその両方に興味がいくものであり、その両方を同じだけ時間をかけて放送するというのはなかなかの先見の明であると言える。この手の番組はこれまでNHKで何度か取り上げられているが、通常は1つの番組内で、どちらかの比重を大きくしながら両方のエピソードを絡めて番組を作るものである。放送時間は長くなるが、今回の番組作りはその点非常にうまいと言える。
 今回のウルトラトレイル・ マウントフジは、河口湖をスタートして、48時間以内に富士山の周囲をまわるというレースで、途中天子山地(最高の標高は1946m)に入ったりする過酷なレースであるという。標高差の累計は8000mを越すという話で、過酷にもほどがあるってもんである。しかも基本的には眠ることなく、食べたり飲んだりしながら完走を目指すわけで、さぞかし大変だろうと思う。コースも登山道のような悪路が多く、下り道はちょっと走れないような箇所も多いようだ。で、番組ではレース中のトレイラーをカメラが追いかけるようなシーンが非常に多く、カメラマンも結構大変な思いをしたんじゃないかと思う。しかも夜間、赤外線カメラで山中を撮影するという場面も数多く、映像としては非常に貴重である。一昔前では撮れなかったような映像が多く、ハンディカメラの進歩を感じる。当日晴れだったこともあり富士山の映像も非常に美しかった。また登山道の他、樹海の中や湖の畔など、情景も多岐に渡っていて、映像的にも面白かった。
 テレビに映された一般の参加者たちは、純粋に楽しみのために参加しているという印象で、以前NHKで放送された北海道縦断マラソンのドキュメンタリー(NHK『北へ555キロ 〜日本最北端を目指したランナーたち〜』)のように、参加者の背景にある劇的なドラマを描くような部分は少なく、そのためにこういった長距離マラソンが日本で楽しみとして市民権を獲得しつつあることが実感された。僕も100kmマラソンにはいつか参加したいと思ってきたが、このウルトラトレイルについてはまったく食指が動かない。トップランナーは20時間前後で完走できるからまだ良いんだろうが、一般ランナーとして48時間もかけることになったら、2昼夜ほとんど眠らずに走る(または歩く)ことになる。2日間も眠らずに何かを行うというのはいかがなものかと思う。常々一般ジョガーにとってフルマラソンは体に悪いと思ってきたが、ここまで来ると体を相当酷使することになりそう。このドキュメンタリーでこのレースに接したことで、山はゆったり登るに限るとあらためて思ったのだった。こういう番組で疑似体験できれば十分。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『雲上の超人たち(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『人は走るために生まれた(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『激闘!ドロミテ鉄人レース(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『死闘!コスタリカ横断850キロ(ドキュメンタリー)』
by chikurinken | 2012-06-25 07:33 | ドキュメンタリー
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