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竹林軒出張所

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『アメリカが見たカストロ』(ドキュメンタリー)

アメリカが見たカストロ 前編後編(2004年・米WGBH)
NHK-BS1 BSドキュメンタリー

b0189364_8182584.jpg 2007年にNHK-BSで放送されたドキュメンタリー。カストロの生い立ちから、反政府(バティスタ政権)運動、キューバ革命、首相就任を経て、その後のキューバの困難な時代までを時系列で追っていく。タイトルの『アメリカが見たカストロ』というのは日本版のタイトル(原題は『Fidel Castro』)だが、これが実にはまっている。このドキュメンタリーのカストロ像も、いかにもアメリカ側からの視点という感じで、当初、革命で民主主義を実現した英雄という扱いだったものが、徐々に、ソ連の手先となって米国と対峙し世界に革命を輸出する悪者というイメージに変わっていく。この間、CIAによるカストロ暗殺計画やカストロ政権転覆工作など、アメリカからは随分嫌がらせを受けているわけで、敵対するのもある意味当然と思うが、そのあたりはアメリカ側の視点に終始している。もちろんこのドキュメンタリーでは、こういったアメリカによる反カストロ工作も紹介されているが。
 また、チェ・ゲバラを死に追いやった、反体制派を大勢処刑したなど、カストロのイメージを損ねるような物言いが多かったのも少し気になるところである。このあたりは、このドキュメンタリーの後、2007年にNHK-BSで放送された『カストロ 人生と革命を語る』で、カストロ自らの口からキューバ側の視点で語られる。この『カストロ 人生と革命を語る』も非常に興味深く、カストロの人間味が伝わってくる秀作だった。これを同時期に並べて放送したことを考えるとNHKは双方の立場を平等に紹介したとも言える。
 カストロの写真や映像がふんだんに紹介されていて、わかりやすく面白い番組ではあったが、全編にわたってネガティブな印象が漂う、「アメリカが見た」というタイトルが象徴しているようなドキュメンタリーであった。
★★★☆
by chikurinken | 2012-05-10 08:18 | ドキュメンタリー
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