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竹林軒出張所

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『蜘蛛巣城』(映画)

b0189364_823024.jpg蜘蛛巣城(1957年・東宝)
監督:黒澤明
原作:ウィリアム・シェイクスピア
脚本:小国英雄、橋本忍、菊島隆三、黒澤明
美術:村木与四郎
音楽:佐藤勝
出演:三船敏郎、山田五十鈴、千秋実、志村喬、浪花千栄子、久保明、加藤武

 黒澤明が、シェイクスピアの『マクベス』を戦国の世に移して翻案した映画。
 芸術映画を意識したせいか知らないが、山田五十鈴がほとんど能面のような顔で能のような動きをする。鼓みたいな背景音が流れるので多分に意図してのことだろう。効果的だったかどうかはよくわからないが、映画の雰囲気を破壊してはいないので特に問題はない。また、黒澤明の多くの映画に共通することなんだが、この映画もご多分に漏れず録音が悪くセリフが聞きとりにくい。後半は特に、絶叫芝居が多くセリフを聞き取れない箇所が非常に多かった(ヘッドフォンで聴いてたんだがね)。
 音の聞き取りにくさもさることながら、序盤は特に流れが悪く、見続けるのが苦痛だった。ただし活劇部分が始まると、さすがに全盛期の黒澤明だけにすごい。合戦シーンは映画史に残るような(実際に残ってるようだが)名シーンで、どうやって撮影したのか最後までわからなかった(見終わった後、スローで再生したが、それでもよくわからなかった)。また、最初と最後に「蜘蛛巣城趾」を出すなどなかなか凝っていて、こういう演出は面白い。さながら荒城の月という趣である。セットを含む美術も特筆もので、このあたりが黒澤明のこだわりなんだろう。モノクロの映像も美しい。
 話の流れとしては、ストーリーが序盤ですべて(予言という形で)明かされてしまうため予定調和的になってしまうのが難であった。また佐藤勝の音楽は、男声コーラスがどうにもいただけない。あれがなければ良いのにと思いながら見ていた。
 しかしやはり最後の合戦シーンのインパクトがあまりにすごいため、それだけでこの映画の難点は吹き飛んでしまう。そういう意味でも黒澤明らしい映画と言って良いだろう。なお、「特別出演」扱いの木村功、宮口精二、中村伸郎は、どこに出ているか結局最後までわからなかった。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『椿三十郎(映画)』
竹林軒出張所『用心棒(映画)』
竹林軒出張所『デルス・ウザーラ(映画)』

by chikurinken | 2011-12-04 08:23 | 映画
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