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竹林軒出張所

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『ヒカルの碁(1)〜(23)』(本)

ヒカルの碁
ほったゆみ原作、小畑健作画、梅沢由香里(日本棋院)監修
集英社ジャンプ・コミックス

b0189364_7442966.jpg 前にアニメ版を何気なく見始めて結局全部見たという『ヒカルの碁』だが、今回、このブログに載せる絵を探すため(竹林軒出張所『歌謡曲 ―時代を彩った歌たち(本)』参照)図書館で数冊借りて、結局全部読んでしまったというわけで、前回と同じ轍を踏んだことになる。
 それにしても非常によくできたマンガで、ストーリーもよく練られている上、絵も美しい仕上がり。少年ジャンプにこんな上質なマンガが連載されていたとは夢にも思わなかった。
 平安時代の碁打ちである藤原佐為が亡霊となって現代に甦り、主人公である現代の少年、新藤ヒカルに取り憑くというところから話が始まる。こう書くとなんてことのない寓話のように聞こえるかも知れないが、荒唐無稽な要素があるとすればこの部分だけで、あとは自然でリアリティがあり、話の展開はスムーズでよどみもほとんどない。なんと言っても登場人物同士の関係性が魅力で、中でも主人公のヒカルと藤原佐為との絡みが面白い。途中で別れが来るんだが、それがおそらくこの話のハイライトなんだろう。人の出会いと別れが切実さを伴って描かれている。そのためもあって、基本は囲碁を題材にした一種の「スポ根もの」ではあるが、それだけにとどまらない奥行きが感じられる。人生の意味を問うようなセリフまで交わされる。
b0189364_7445499.jpg また、ずぶの素人のヒカルが囲碁界に近付いていくという展開で、周囲の人々から囲碁の情報が随時吹き込まれるため、囲碁や囲碁界についてまったく知らなくても楽しめるようになっている。この辺も原作者の力量を感じるところだ。
 それからこのコミックス版だが、巻ごとに背表紙が黒、白の順になっていて、囲碁を意識した作りになっている(しかも1巻はちゃんと黒)。こういう細部のこだわりもうれしいところ。ちなみにアニメ版はこの原作をかなり忠実に再現しており、(前にも書いたが)アニメ製作者の見識の高さが窺われる部分である。なお、アニメ化された部分は実質的に17巻までで、番外編の18巻から幾ばくかのエピソードと、それ以降の巻からは部分的に少しだけピックアップされている。アニメ版も原作同様できが良かったが、まさか実写版なんてのは作られないよね? それだけはごめん被りたい。頼むよ日本テレビ!(竹林軒出張所『リメイクもういらん党宣言』参照)
第45回小学館漫画賞 、第7回手塚治虫文化賞新生賞受賞作
★★★★

参考:
竹林軒出張所『天地明察 (上)(下)(本)』

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 以下、アニメ版についての感想。前のブログに掲載したもの(2006年11月16日投稿分)を一部抜粋(竹林軒ネット『アーカイブス:2006ドラマ日記』より)。

ヒカルの碁(2001年・テレビ東京)
監督:西沢晋
原作:ほったゆみ、小畑健
出演:川上とも子、千葉進歩、小林沙苗、かかずゆみ
b0189364_7471640.jpg 2001年に放送されて、子どもたちの間に囲碁ブームを巻き起こしたというアニメ。アニメだからといって侮れない。ストーリー構成がしっかりしていて、それぞれの登場人物が魅力的である。アニメにありがちな向上心や闘争心だけでなく、人との出会いと別れなども盛り込まれて、大人も十分楽しめる奥深さがある。囲碁の素人である主人公、進藤ヒカルが囲碁界に飛び込んでいくという設定なので、見る側が囲碁界についてよく知らなくても、随時周りの登場人物から(ドラマ上はヒカルに対してだが)説明される。この辺もなかなかうまい。原作も少し読んでみたが、かなり原作を忠実に動画化している。その点からも製作者側の見識の高さが窺われる。良いものには過剰に手を加える必要はない。
 ちなみに、このアニメ、最初は僕一人で見ていたのだが、そのうち子どもたちが見るようになり、やがて妻、その後母も見るようになった。何という求心力!
by chikurinken | 2011-10-28 07:48 |
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