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竹林軒出張所

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『地上の太陽 “核融合”発電は実現するか』(ドキュメンタリー)

地上の太陽 〜“核融合”発電は実現するか〜
(2009年・英BBC)
NHK-BS1 BS世界のドキュメンタリー <シリーズ エネルギー革命>

『地上の太陽 “核融合”発電は実現するか』(ドキュメンタリー)_b0189364_12173371.jpg 未来のエネルギーと呼ばれる「核融合」。「原子力発電は核融合発電が確立するまでのつなぎ」などと言う人もいるくらいで、多くの人々から多大な期待が寄せられている。僕などは「核」という名前が付くだけで大変な抵抗を覚えるが、とは言っても核融合についてはまったく知らない。「夢のエネルギー」(と一部で言われている)ということだけしか知らないので、少し勉強してみようかなと思ってこのドキュメンタリーを見た。BBC製のドキュメンタリーで、案内人はブライアン・コックス。元ロックシンガーで今は科学者という異色の人である。
 番組では、アメリカと韓国に現在存在する核融合実験施設を紹介し、核融合の原理や難題などを明らかにしていく。ごく簡単な説明はあったが、正直なんだかよくわからない。水爆の技術を応用したというが、今ひとつピンと来ない。わかったことは、核融合というものが太陽の内部の反応を再現しようとする技術であること、核融合の状態を作り出すために莫大なエネルギーが必要であること、またそのエネルギーがあまりに莫大であるため、巨大な施設が必要であることなどなど。しかも現時点では、この核融合の状態を生みだすことができるのはほんの一瞬で、これを継続させて発電しエネルギーを取り出すなどと言われても、両者の間に相当大きな溝があるような気がするがいかがだろう(韓国の施設の、非常に楽観的な予測であっても、現時点で投入エネルギーと産出エネルギーが1:1だという)。それに放射線はやはり出るようであるし、安全性もまったく未知数である。1億度という高温状態を生みだすことから、今みたいな一瞬の反応を生みだすにも大がかりな設備が必要になる。こんなものを継続的に動作させるというのは、今の原発施設より遙かに困難で危険性を伴う技術のような気もする。
 元々、核融合技術は太陽を地上に生みだすという発想らしいが、今の地球環境にとって太陽は1つで十分ではないのかと思う。作り出した太陽を地上でコントロールできるのかについてもはなはだ疑問を感じる。全体的に技術者目線で作られたドキュメンタリーで、ある意味、相当脳天気という印象であった。未知の部分や危険性には目をつぶって、楽天性だけで事を進めるのは、かなりアブないんじゃないかと思う。こういう楽天的な技術者に権力や多大な予算を与えるととんでもないことになるという、そういった印象だけが残るドキュメンタリーだった。
★★☆
by chikurinken | 2011-08-11 12:18 | ドキュメンタリー
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