ゲド戦記(2006年・スタジオジブリ)
監督:宮崎吾朗
原作:アーシュラ・K・ル=グウィン
原案:宮崎駿
脚本:宮崎吾朗、丹羽圭子
出演:岡田准一、手嶌葵、菅原文太、風吹ジュン、田中裕子、香川照之
宮崎駿の子息、宮崎吾朗の初監督作品。ちなみに先日見た『コクリコ坂から』(
竹林軒出張所『コクリコ坂から(映画)』参照)が第二作目。
内容は(『コクリコ坂から』とは大きく異なり)SFファンタジーで、ジブリお得意の分野という感じもする。演出もこれまでのジブリ作品を引き継いだようなもので、ジブリ色がよく出ている。宮崎駿監督作品といっても通りそうである。そういうわけで『ラピュタ』や『千と千尋』、『ナウシカ』などを彷彿させるシーンや設定が随所に出てくる。別のプロダクションが作っていたら、パロディかオマージュかと感じるかも知れない。
ストーリー自体は、比較的ご都合主義的で、一昔前のロールプレイイングゲームみたいにやや安直なものである。宮崎駿作品にたびたび見られる、目を瞠るような意外なキャラクターデザインは残念ながらなかった。ジブリ作品の中では可もなく不可もなくという印象だが、アニメ映画の水準で言えばよくできている方だと思う。
ただし『コクリコ坂』同様、俳優が声を担当しているのはとても引っかかる。「餅は餅屋」ならぬ「声は声優」でしょ、と思う。手嶌葵以外、ちょっと難ありと感じた(ひどくはないが良くはない)。新人の手嶌葵は意外に良い感じで(ま、セリフが少ないこともあるが)、それについてはちょっと予想外だった。この辺は『コクリコ坂』の長澤まさみと共通する。映像も『コクリコ坂』同様、ジブリらしく非常に美しい。
『コクリコ坂』同様、ストーリーの物足りなさだけがいつまでも残るのであった(『コクリコ坂』よりははるかにマシではある)。
★★★参考:
竹林軒出張所『風の谷のナウシカ (1)、(2)(本)』竹林軒出張所『風の谷のナウシカ (3)〜(7)(本)』竹林軒出張所『コクリコ坂から(映画)』竹林軒出張所『夢と狂気の王国(映画)』竹林軒出張所『龍の歯医者(アニメ)』竹林軒出張所『魔女の宅急便(映画)』