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竹林軒出張所

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『大地動乱の時代 地震学者は警告する』(本)

b0189364_8223070.jpg大地動乱の時代 地震学者は警告する
石橋克彦著
岩波新書

 東海地震、関東地震が間近に迫っていることを警告する、地震学者による書。
 過去数百年、マグニチュード7クラスの小田原地震が約70年の周期で起こっており、それにあわせるように同等クラスの関東地震、東海地震がそれぞれ別の周期(小田原地震の倍数に相当)で起こっている。本書では、これまでの経緯とその構造やしくみについて詳細に解説し、(関東大地震に備え)現在のような過度の首都圏一極集中を解消し、政治や経済の機能を1日も早く地方に分散すべきだと説く。
 著者の主張にまったく異存はないが、地震の構造やそのしくみを解説した部分(第3章〜第5章)がなにしろ読みづらく非常に難儀した。専門用語が唐突に出てきたり(おそらく地震学者の間では常識的な用語なんだろうが)、参照されている図版があちこちに散らばりすぎていたりで、とにかくページを前後に執拗に移動しながらでないと読み進めることができない。拙い学術論文のような印象さえ受ける。しかも解説は過剰なんだが、言っていること自体はそれほど複雑なことではない(ようだ)。研究者にありがちな、他者から突っ込まれないような「防衛的な」記述のせいでこれだけややこしくなったんだと思うが、もう少しバッサリと記述を整理しても良かったんではないかと思う。
 第1、2章の関東地震・南海地震の歴史は非常に読みやすく面白かったし、第6章の首都圏地震の対策の必要性の項も説得力があって良かっただけに、アンコの部分がもう少し改善されるともっと良い本になったと思う。いずれにしても、今という時代(そして首都東京)が、非常に危うい、まさに「砂上の楼閣」みたいな状況にあることはよく伝わってきた。ちなみに著者の予測では、1990年代末から2010年代の間に東海、関東大地震が発生する確率がきわめて高いということだ。

参考:竹林軒出張所『3年目のつぶやき……くらい大目に見てよ』
★★★
by chikurinken | 2011-06-22 08:23 |
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