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竹林軒出張所

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悪魔のようなキャンディーズ(ま、見た目ですけどね)

 スーちゃん(田中好子)追悼企画ということで、先日『わが愛しのキャンディーズ』という番組がNHK-BSで放送された。
 この番組は元々2006年に放送された番組で、今回が再放送(たびたび再放送されているようだ)。まさに追悼企画なんだが、これを見ていていろいろ感じることがあったので、書いておこうと思う。
 ちなみにこの番組では、スクールメイツ時代の映像や『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』に出ていたときのコント映像なども紹介されている。情報筋によると稀少映像満載らしい(そのあたりの価値は僕にはわからない)。

b0189364_120777.jpg 僕はキャンディーズに対して特別な思い入れがあるわけではないし、露出の大きいコスチュームが気恥ずかしくて、当時もテレビで一生懸命見たりすることができなかった。歌も少し気恥ずかしい気がした。その上、ピンクレディーが登場した頃からコスチュームの恥ずかしさは一段と増し、何やら19世紀末のフランスのキャバレー(キャバレーに登場した女性たちは娼婦予備軍だったのだよ)を連想させるようなものになっていった。そういうわけで、その頃から歌謡番組は見なくなり、意図的にシャットアウトするようになった。ああいった売り方(特にピンクレディーみたいな)に嫌悪感を持ったのだな。だから後楽園球場のキャンディーズ解散コンサートの映像もほとんど見たことがなかったのだが、今回この番組で、30年ぶりに初めて見ることになった。やはりちょっとわざとらしさを感じて僕などは受け付けないんだが、でもあのファンの熱狂ぶりはすごいと今見ても思う。お祭り好きの日本人の本領発揮と言える。
 ともかくキャンディーズに対してはやや冷ややかな僕であったが、「やさしい悪魔」という歌は、久しぶりに聴いていささか感じるところがあった。もちろんこの歌、当時から何度も耳にしているんだが、一生懸命聴くということがなかったので、特に何も感じていなかった。
 あらためて聴いてみると、まず何よりも詞が面白いと思った。「あの人は悪魔」、「わたしをとりこにする」で起・承と続いて、次に「やさしい悪魔」と来る(なんだ「やさしい」のか、ということで「転」)。その後の「結」に当たる「レースのカーテンにあの人の影が映ったら」「私の心はもう動けない」も詩的でよい。それに続く「ふたりの影はやがてひとつの燃えるシルエット」はとても映像的で、目に情景が浮かぶようだ。なお詞を作っているのは「神田川」の喜多條忠である。
 またその詞を引き立てる曲も秀逸。途中で何度も転調して「悪魔」と「やさしい悪魔」に対するアンビバレントな心情が伝わってくるようでもある。吉田拓郎らしい不思議なメロディも実に良い。「悪魔」的なオルガンが光る編曲(編曲:馬飼野康二)もなかなかのもの。もちろん歌唱も見事。30年近くまったく何も感じなかったのに、今回ふとその良さに気が付いたのだった。でもやっぱり、あのコスチュームはちょっといただけない。バニーガールみたいで、キャンディーズの中でもっとも露出が大きいんじゃないか。何も当人たちが「悪魔」を装わなくても良いんじゃないかと思うが(衣装デザインはアン・ルイスだって)。
 ちなみにこの後も喜多條忠と吉田拓郎のコンビで「アン・ドゥ・トロワ」という曲が出ているが、正直こちらはまったくいただけない。ま、好みの問題ということになるんだろうが。
 しかし、キャンディーズ、何でも全力投球という感じで、一生懸命さがよく伝わってきて、当時好感が持たれたというのもわかるような気がする。こちらも今さらながらではある。

参考:竹林軒出張所『北の夢(ドラマ) 追悼 田中好子』
by chikurinken | 2011-05-17 12:01 | 音楽
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