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竹林軒出張所

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『風の谷のナウシカ3〜7』(本)

b0189364_0203529.jpg風の谷のナウシカ3
風の谷のナウシカ4
風の谷のナウシカ5
風の谷のナウシカ6
風の谷のナウシカ7
宮崎駿著
徳間書店アニメージュコミックスワイド判

 先日読んだ『風の谷のナウシカ1、2』の続きで、1日1冊ペースで結局全7巻読んでしまった。
 第3巻以降は、映画版『風の谷のナウシカ』とまったく違う話で、まさに一大叙事詩という趣であった。ある種神話的な世界が1000ページ以上に渡って展開される。その世界の広大さ、ユニークさ、メッセージ性の強さは、もはや口を挟む余地すらない。開始から10年以上に渡って雑誌連載が続いたらしく、内容は壮大である。しかも途中で絵やストーリーが破綻するようなこともなく、質の高さが維持されている。第3巻以降は映画版公開後だったこともあって、映画版の方がむしろ宣伝材料であるかのように感じられるほどである。
 絵コンテであるかのような読みにくさは第3巻以降も残るが、読者であるこちらが慣れてきたせいか、それとも著者が「マンガ」という媒体にこなれてきたせいか、巻を進むにつれてだんだん流れが良くなってきたように思う。
 また、前にも書いたが、全体を通してキャラクターデザインが秀逸で、これだけのオリジナリティと斬新さはこれまでのSF小説にも見られなかったのではないかと思う。「森の人」や「メーヴェ」や「王蟲(おーむ)」、「大海嘯」や「火の七日間」など、いろいろな小道具があちこちにちりばめられていて、毎度毎度感心する。
 ストーリー展開や登場人物のキャラクターなどは、他の宮崎駿の映像作品に共通するなものが多く、『未来少年コナン』や『天空の城ラピュタ』などがあちこちに見え隠れする。しかし逆に言えば、そういった宮崎作品がこの作品に集約されているという考え方もでき、そういう意味で宮崎駿の集大成と言える作品なのではないかと思う。
 内容が深いため(またその世界が複雑であるため)1回読んだだけで100%理解できたわけではなかったが、テーマはよく伝わってきた。テクノロジー万能を信じるおごりたかぶった人間も、結局は自然の前で無力である。それは実に今日的なテーマでもある。そういう奥深さを考えると、何度も繰り返し読める作品であるような気がする。
 好き嫌いというレベルを超えて、これだけのものが作られたこと自体奇跡的で、日本のSFの最高傑作の1つであると言って良いのではないか……そう思うのである。
★★★★
by chikurinken | 2011-05-15 23:19 |
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