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竹林軒出張所

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『風の谷のナウシカ1』、『2』(本)

b0189364_91243.jpg風の谷のナウシカ1
風の谷のナウシカ2
宮崎駿著
徳間書店アニメージュコミックスワイド判

 スタジオジブリの映画で有名な『風の谷のナウシカ』の原作マンガ。全7巻構成の第1巻と第2巻である。
 NHKで1978年に放送された宮崎駿監督作の『未来少年コナン』(NHK初のアニメ)は、背景世界が壮大でテーマもはっきりしており、しかもキャラクターデザインが凝っていたこともあって、非常に楽しめた優れたアニメだった(ただし子供向けらしい過剰な演出は少々鼻に付いた)。そのためもあり、その後、宮崎駿が新作映画を作るという話を聞いたとき、これ以上ないほどの期待を寄せていたのだ。その映画というのが、1984年に劇場公開された『風の谷のナウシカ』である。当時貧乏学生だった僕は、満を持して封切館(!)でこの映画を見たのだが、設定が伝わりづらい上に物語が浅い感じがして、大変に失望したのだった。もちろん映画雑誌などで(アニメとしては)異常に高い評価を集めていたのは承知しているが、宮崎駿のポテンシャルを考えるといかにももの足りない映画であった。
 ただ、アニメ好きの間では、原作マンガの方がはるかに質が高いと言われていた(ようだ)。そういうこともあって原作については長いこと気にはなっていたのだが、全部で7巻もあることだし、読むのが面倒な気もして、結局そのままになっていた。だが今回、ちょっと機会があって第1巻と第2巻を読んでみた。
b0189364_913583.jpg まだまだ序盤であるが、映画版のストーリーになっているのはほとんどがこの部分で、(第3巻以降はまだ読んでいないからよくわからないが)おそらくここから別の話が展開されていくのではないかと思う。人物設定やストーリーも映画と微妙に違っており、映画版で感じたような浅さはまったく感じられない。ちょっとした大河作品であり、一種の終末世界で神話的な物語が劇的に展開される。一部ギリシャ神話に材を取っているということで、神話的なのも頷けるというもの。
 今のところ、ストーリーやキャラクターデザインは宮崎作品らしく秀逸だが、絵自体ごちゃごちゃしていてわかりにくくなっている箇所が多く、絵にもう少し説明的な要素が欲しいなという気もする。色でも付いていたら視認性が高まったのかも知れないが、これは無理な相談というもの。もう一つ問題なのは、コマの間でキャラクターの動きがあまり伝わってこないことで、マンガとしてはややグレードが低いかとも思う。絵自体のグレードは高いんだが、マンガと言うより絵コンテみたいな感じになってしまっている。このあたりは、元々映像作家だからしようがないと言えばしようがないのか。まそれでも(ギクシャクはしていても)、ゆっくり読み進んでいけば何とかなるレベルなのでとりあえずはよしである。今後の展開が非常に楽しみなのは変わりない。
 本として見ると、紙の質が非常に悪い点がマイナスで、マンガ雑誌を思わせるような紙質であった。だがこれも、破格の値段を考えるとしようがないのかなとも思う。
★★★☆
by chikurinken | 2011-05-11 09:02 |
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