初女さんのおむすび 〜岩木山麓・ぬくもりの食卓〜
(2008年・NHK)
NHK-BShi
青森県の岩木山の麓で「森のイスキア」という宿泊施設を営んでいる佐藤初女さんにスポットを当てたドキュメンタリー。
「森のイスキア」には、心が疲れたり問題を抱えたりしている人が泊まりに来る。初女さんは、そういった人達の心に寄り添い、食事を振る舞う。食事は、初女さんとスタッフが心を込めて作った手料理で、精神的に大変な状況にある人々もこれで癒されていくようだ。何やら
『食堂かたつむり』や『かもめ食堂』を彷彿とさせる世界だが、このドキュメンタリーを見ていると、なるほどああいう映画世界というのも実在するのだなと思う。
画面作りも、静かなときの流れをそのまま表現したような癒しの映像が続き、見ていて心が安まる。都市の喧噪などというものとまったく縁のない静かな生活が映し出されていく。それは細部まで徹底しており、タイトルやテロップも楷書体で書かれ、端正ながら穏やかな印象を与える。またナレーションを務めるのも、癒し系の日本代表、井川遥で、このあたりにも細部へのこだわりが感じられる。
佐藤初女さんには何冊か著書もあるようで、興味のある方はそちらも参照なさってはいかがだろうか。
ATP賞ドキュメンタリー部門優秀賞受賞
★★★☆参考:
竹林軒出張所『おむすびの祈り(本)』竹林軒出張所『食堂かたつむり(映画)』竹林軒出張所『しあわせのパン(映画)』