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竹林軒出張所

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『だからここに来た - 全日本フォーク・ジャンボリーの記録』(映画)

だからここに来た - 全日本フォーク・ジャンボリーの記録
(1970年・URC)
監督:中本達男、野村光由
出演:岡林信康、吉田日出子、高田渡、五つの赤い風船、浅川マキ、小室等と六文銭、斉藤哲夫

『だからここに来た - 全日本フォーク・ジャンボリーの記録』(映画)_b0189364_10431198.jpg 1970年に、岐阜県中津川の椛の湖湖畔で開催された第2回全日本フォーク・ジャンボリーの記録映画。
 基本的には、9組の出演者のライブ映像をつなげ、現地の映像をインサートするという形式のライブ・ドキュメンタリーで、映画と言えるかどうかわからないようなものだが、今となっては記録としての価値が非常に大きい。これまで、あまり広く公開されることがなく、テレビ番組などで一部だけ紹介されることがあり、存在だけは知られていたが実際に見る手段はないという作品であった。ところがこのたび、DVDが発売される運びになり、ついに目にすることができたというわけである。
 会場までは、鉄道とバスを乗り継ぎ、さらに徒歩で結構歩かなければならなかったようで(当時の映像からうかがわれる)、よくこれだけの客が集まったなと思うほどである。吉田日出子が客やアーチストにインタビューしていくんだが、客の回答もなにやらえらくスカしている。当時のフォーク・ジャンボリーの位置付けというものがうかがい知れるようである。ちなみにこの吉田日出子はその後岡林信康と短期間ながら同棲していたということである。ここでインタビュアーしていたのもそれと何か関係があるんだろうか。
 それはさておき、この記録映画では、やはりというか岡林信康のライブ映像がもっとも多く4曲入っている(しかも時間もかなり長い)。タイトルの「だからここに来た」も岡林信康の歌からとったものである。登場する人々は、当たり前だがとにかく若く初々しい。高田渡なんか100%青年である。また若い頃の浅川マキの映像も非常に貴重である。しかもインタビューにまで答えており、何となく不気味なイメージだった浅川マキ(失礼!)もやはり人間であるということをあらためて思い知らされる。映画やドキュメンタリーとして云々という以前に、日本の音楽史を記録した映像としてとても貴重なものである。余談であるが、当時アマチュアとして現地に赴いていたなぎら健壱も、ギャラリーの1人としてこの映画に映っているらしい(本人談:湖で泳いでいる人々の中にいるらしい)。結局確認できなかった。
★★★

参考:
竹林軒出張所『YouTube散策 & メルト・ダウン & アイソトープ』
竹林軒出張所『ウッドストック(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『タカダワタル的ゼロ(映画)』
竹林軒出張所『先月のCD』
竹林軒出張所『山之口貘の詩、そしてとぼけた味わいの曲』
竹林軒出張所『高田渡に会いに行く(本)』

by chikurinken | 2011-01-04 10:45 | 映画
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