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竹林軒出張所

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『若き皇后 シシー』、『シシー ある皇后の運命の歳月』(映画)


若き皇后 シシー(1956年・墺)
シシー ある皇后の運命の歳月(1957年・墺)
監督:エルンスト・マリシュカ
脚本:エルンスト・マリシュカ
出演:ロミー・シュナイダー、カール=ハインツ・ベーム、マグダ・シュナイダー

『若き皇后 シシー』、『シシー ある皇后の運命の歳月』(映画)_b0189364_11343120.jpg シシー(エリーザベト・オーストリア皇后)三部作の、第2作目と第3作目である。スタッフもキャストも共通で、話も1本の映画のように続いている。ちなみに第1作目の『プリンセス・シシー』も同様。3本をひとまとめにすると長すぎるし、商業的にもいろいろ不利なので、便宜的に3つに分けたのか……その辺の事情はよくわからない。
 第2作目は、フランツ・ヨーゼフ1世との結婚から出産まで、第3作目は、育児から大病、平癒までを描く。年代にしてみると1954年から7〜8年間くらいか。この後、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン戦争、普墺戦争が発生して、オーストリア帝国およびオーストリア皇室は激動の時代を迎えることになる。
 映画では、シシーの生活面が描かれ、姑(ゾフィー大公妃)との確執や大病が中心となる。演出はありきたりで特筆することもない。学習教材のような映画であった。出てくる人達が善人ばかりというのも、安直さ、ひいては作品の薄っぺらさの原因になっている。王室なんだからいろいろ周囲との確執もあろうにと思うんだが、そのあたりは当たり障りのない描き方で終わっている。
 映画自体は、特に感じることもなく、テレビ・ドラマのような感覚で、流すように見ていたが、やはり気になるのは、シシーを演じていたロミー・シュナイダー。『プリンセス・シシー』の項でも書いたが、『ルートヴィヒ』のシシー役はちょっと怖い印象で、本作のシシー役は可愛い王妃の役。ものすごいギャップがある。
『若き皇后 シシー』、『シシー ある皇后の運命の歳月』(映画)_b0189364_11354981.jpg かつて、高校社会科の資料集に、ヴィクトリア女王(英国)の若い頃の麗しい肖像画が載っていて、そのために、ヴィクトリア女王に対してはアイドルに近い印象を持っていた。ところが、予備校の同級生が持っていた社会科資料集(僕のとは別のもの)には、女王の別の肖像画が出ており、それは年をとってからのものだったのだが、あまりの違いに唖然としたのであった(そのとき、僕の資料集をその同級生にも見せたのだが、彼も唖然して「こげん変わると?」と呟いていた)。僕の資料集に載っていたヴィクトリア女王は、非常に可憐で美しかったが、同級生の資料集に載っていたヴィクトリア女王は、さながら妖怪のようであった(政治的にも妖怪のようだったようだが)。で、今回のロミー・シュナイダーには、それに近い印象を受けるのである。そういうこともあって、もう一度『ルートヴィヒ』を見たいと思った。ちなみに『ルートヴィヒ』は過去2回劇場で見ている(京都、銀座)が、前回見たときは、2回目であったにもかかわらず、途中から最後まで熟睡してしまったのだ。今まで見た映画の中でもっとも長い時間眠っていたという、僕にとって記念碑的な映画でもある。いやいや、良い映画なんだけども。
★★★

注:各映画のタイトルは、NHK-BS2放送時のものを使用しました。また、文中、習慣に基づいて、オーストリア王妃のことを「エリーザベト」と表記しましたが、「エリザベート」と表記されることも多いようです。映画中の発音は「エリザベート」に近いように感じました。

参考:
竹林軒出張所『プリンセス・シシー(映画)』
竹林軒出張所『ルートヴィヒ(映画)』

by chikurinken | 2010-09-20 11:37 | 映画
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