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竹林軒出張所

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『精霊流し』(映画) やりすぎ……ドラマ版の方がヨイ

b0189364_22132511.jpg精霊流し(2003年・『精霊流し』製作委員会)
監督:田中光敏
原作:さだまさし
脚本:横田与志
出演:内田朝陽、松坂慶子、酒井美紀、池内博之、高島礼子、山本太郎、椎名桔平、田中邦衛

 歌手のさだまさしが書いた小説『精霊流し』の映画版。
 2002年にNHKで放送されたテレビ・ドラマ『精霊流し〜あなたを忘れない〜』も『精霊流し』が原作だそうだが、映画とドラマで内容がかなり違っている。小説は読んでいないんでどちらが小説に近いかわからないが、個人的には、ドラマの方が数段デキが良かった……ストーリーとして。
 それにこのドラマは、グレープの歌「精霊流し」(作詞・作曲:さだまさし)の種明かしみたいになっていて、非常に感慨が深かった。グレープの「精霊流し」は、発表されてからすでに30年以上になるが、叙情的なメロディが美しく、僕はてっきり死んだ恋人(女→男)に贈る歌だとばかり思っていた。しかし、このドラマでは、死んだ従兄弟に対する思いを歌にしたということになっていた。で、事実もそうらしい、Wikipediaによると。歌詞に出てくる「去年のあなたの思い出がテープレコーダーから聞こえてきます」や「二人でこさえたおそろいの浴衣も今夜は一人で着ます」などのフレーズも実際にドラマの場面として出てきて、少しオーバーだが「目からウロコ」みたいな感覚を持ったのである。
(この後ネタバレ注意)
 ドラマはさだまさしの自伝的な話で、しかもなかなかドラマチックな側面もあり、演出や演技はともかく、ストーリーの面白さとリアリティが秀逸だった。映画もてっきり同じ話かと思っていたんだが、基本線は大体同じだが、主人公が実は叔母さん(と思っていた人)の子供だったり、主人公を好きだった女性が従兄弟の子供を妊娠してその直後にその従兄弟が死ぬなど、なんだか無駄に過剰な演出が盛り込まれているような印象を受ける。いろいろ余計なものを盛り込まなくても、十分重くインパクトがある話なんだからそのまま使えば良さそうなものなんだが、映画にしたからにはエンタテイメントの要素が必要だと思ったかどうか知らないが、こざかしい演出てんこ盛りになってしまった。演技も過剰だしちょっとうんざりである。もちろん原作がドラマに近いか映画に近いかわからないんだが。ドラマの再現を……ということで今回映画版を見たんだが、結局ガッカリな結果になってしまった。ドラマの再放送を望むしかないということなんだろうか。ちなみにドラマ版のDVDは出ていない。
★★★

参考:
竹林軒出張所『精霊流し(本)』
竹林軒出張所『かすていら(1)〜(5)(ドラマ)』
竹林軒出張所『ちゃんぽん食べたか (1)〜(9)(ドラマ)』
竹林軒出張所『眉山(映画)』
竹林軒出張所『アントキノイノチ(映画)』
by chikurinken | 2010-04-09 22:14 | 映画
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