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竹林軒出張所

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『発明はいかに始まるか』(本)

b0189364_1159982.jpg発明はいかに始まるか 創造と時代精神
ジョン H. リード著、中島由江訳
新曜社

 発明は、特定の個人によるものではなく、時代精神の集積であり、数々の技術の積み重ねによるものである、というのが本書の主張でテーマである。ただしそれを前提とした上でも、いわゆる発明者(グーテンベルグ、ライト兄弟、ワット、スチーブンソンなど)は、数ある技術者の中でも独自のアイデアなどを盛り込んでおり、時代精神を実用性という点で体現させたという大きな功績があるとする。大変説得力があり、わかりやすい結論である。
 このように、内容はなかなか興味深く、しかも知識の集積という点で役に立つが、全体が冗長で、それに非常に長い(約400ページ)。読み終わるのに相当な時間がかかった。大学の教養部の授業のようで、話が雑学的に進められるため、学校で聞き流すように聴いていれば非常に楽しいだろうと思う。だがそれもそのはず、著者は研究者でありながら、ラジオの教養番組(科学技術に関するもの)で構成とホストを担当しているという。そういった前提で、ダラダラと暇つぶし的に読む分には非常に面白い本なのかも知れない。
 全体は、大きく4つに別れている。航空機、蒸気機関、印刷術が大きな3本柱で、印刷術によって広く普及が始まった教育について最後に述べられている。図版も多く、記述も割合わかりやすいが、やはり冗長さは否めない。であるので、それぞれの部分を拾い読みするような読み方がもっとも適しているような気がする。そういうわけで、僕自身、いろいろと雑学的な知識は身に付いた(特に印刷術と銅版画との関連が個人的には興味深かった)。また著者の主張もよく伝わってきた。良い本なんだろうが、読むのに骨が折れた本であるのも確かである。
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『いまに至る道 灯り(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『いまに至る道 ガラス(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『人類初飛行の光と影(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『電流戦争! エジソン VS テスラ(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史(本)』

by chikurinken | 2010-02-20 12:00 |
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