ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

『無法松の一生』(映画)

無法松の一生(1958年・東宝)
監督:稲垣浩
原作:岩下俊作
脚色:伊丹万作、稲垣浩
出演:三船敏郎、高峰秀子、芥川比呂志、笠智衆、田中春男

b0189364_2031509.jpg 稲垣浩は、1943年と1958年の2回、『無法松の一生』を監督しており、本作は2回目の作品である。1本目は戦時下ということもあり、無法松の恋心が表現されていた箇所がカットされたらしい。そういうあたりに思いを馳せると、2回目のこの作品は、相当な思い入れで作っているのではないかと容易に推測できる。カラー化されてシネスコサイズにもなっている。
 僕はかつて、阪東妻三郎主演の43年版は見ていたが、本作は未見であった。前作では阪東妻三郎の快演が光っており、僕は一編に阪妻のファンになった。58年版ではカット部分も再現されているらしく、いわば完全版になっているが、三船敏郎にあの阪妻の無法松に匹敵する演技ができるのか、そのあたりが気になるところだった。だがそんなことはまったく杞憂で、なかなか豪放な三船無法松が拝めることになった。そもそもこの話は、乱暴者だが竹を割ったようなさっぱりした男、富島松五郎の魅力を描いた話で、その魅力がどれだけ表現されるかが重要になる。その点でも非常に優れた映画になっている。
 伊丹万作の脚本を忠実に再現したかどうかは(脚本を読んでいないので)わからないが、演出自体は手堅いもので、奇を衒った部分もない。無法松自身のように、竹を割ったようなさっぱりした映画に仕上がっていた。
ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞(グランプリ)受賞作
★★★☆

参考:
竹林軒出張所『このところ高峰秀子映画が多いことについての弁明』
by chikurinken | 2010-01-26 20:32 | 映画
<< Macで音の取り込みをやってみた 『クララ・シューマン 愛の協奏... >>