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竹林軒出張所

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『曜変天目を現在に』(ドキュメンタリー)

器 夢工房 曜変天目を現在(いま)に 林恭助
(09年・NHK、NHKプラネット中部)
NHK-BS2

『曜変天目を現在に』(ドキュメンタリー)_b0189364_10363880.jpg 世界に3個しかない曜変天目茶碗を再現したとされる林恭助氏のドキュメンタリー。氏の曜変椀(林氏の器に対する命名)作りの現場を紹介する。
 12、3世紀の中国で作られたと言われる曜変天目茶碗。虹彩が付いた模様が特徴的な天目茶碗で、茶人に重用され現在に伝わる。だが、現存しているものは世界で3個と言われていて、そのすべては日本にあり、いずれも国宝指定されている。
 林氏は、中国の赤土を使って焼いた天目茶碗に、中国で使われていた窯の環境を再現したという特別な窯(電気とガスを使ったもの)で曜変模様を再現している。同氏によると、1立方メートルの窯の中でたった1箇所でしか曜変模様を再現できないという(1cm違えば思い通りの模様ができないらしい)。秒単位で火力を調節し、温度と時間のバランスを緻密に保つことで曜変模様を生み出すんだそうだ。
 林氏は、近年では再現にとどまらず、新しい、自分なりの曜変茶碗を生み出している。
 この林恭助氏は、かつて『ハイビジョンスペシャル 幻の名碗 曜変天目に挑む』というドキュメンタリーに出てきた人ではないかと思うが、僕自身、この作家の名前を忘れていてずっとそれが気になっていたところで、今回やっと確認することができた(と思う)のだった。
 ただ、番組を見ながら気になったんだが、本家の曜変天目茶碗は、現在国宝に指定されていてなかなか目にすることができないのに、本当に再現できたことが確認できるんだろうかということ(僕も今まで本家は数度しか見たことがない)。確かにテレビで見る限りでは、美しく再現できているようだが、並べて比べてみないとどこがどう違うかわからないんじゃないだろうか。で、少し調べてみると、「耀変天目茶碗の再現成功」については異議を唱える人もいて、「陶芸分野の権威ある団体が日本にはいくつかあるが、どの団体も「再現成功」を認めていない」(曜変天目茶碗再現成功日記)ということらしい。
 だが「再現成功」かどうかはともかく、林氏の作品は、テレビで見る限りなかなか良さそうで、作家としての価値を損なうことはないんじゃないだろうか……そういう気もする。
★★★☆

参考:
曜変天目茶碗再現成功日記
竹林軒出張所『幻の名碗 曜変天目に挑む(ドキュメンタリー)』
竹林軒出張所『曜変 陶工・魔性の輝きに挑む(ドキュメンタリー)』

by chikurinken | 2009-10-09 10:39 | ドキュメンタリー
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