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竹林軒出張所

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『タカダワタル的ゼロ』(映画)

タカダワタル的ゼロ
(2008年・アルタミラピクチャーズ)
監督:白石晃士
出演:高田渡、泉谷しげる、佐久間順平、柄本明、ベンガル

リアル人間国宝、高田渡の貴重な生前映像

『タカダワタル的ゼロ』(映画)_b0189364_8544028.jpg 2001年の下北沢スズナリの年越しライブを中心にした、今は亡き高田渡のドキュメンタリー。ライブの間に、いせや(飲み屋)での高田渡などの映像が挿入されるが、基本は高田渡のライブ映像である。『タカダワタル的』の続編という位置付けなんだろうが、どういう連関があるんだかわからない。なぜ「ゼロ」なのかもわからない。基本構成は似ているし、内容もそれほど変わらないんじゃないかと思う。ライブの舞台は違うが。
 とはいうものの「国宝」高田渡のライブ映像は貴重で、映像的にもなかなか優れている。演奏している曲目も代表的なものが多く、クオリティも高い。特にサイドで演奏に加わっている佐久間順平という人の演奏は素晴らしいものがある。ただ、高田渡に興味のない人は、あまり楽しめないのではないかとも思う。ちょっと微妙。
★★★

参考:
竹林軒出張所『高田渡と父・豊の「生活の柄」(本)』
竹林軒出張所『高田渡に会いに行く(本)』
竹林軒出張所『だからここに来た(映画)』
竹林軒出張所『山之口貘の詩、そしてとぼけた味わいの曲』
竹林軒出張所『YouTube散策 & メルト・ダウン & アイソトープ』

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 以下、以前のブログで紹介した『タカダワタル的』の評の再録。

(2005年10月26日の記事より)
タカダワタル的(2003年・アルタミラピクチャーズ)
監督:タナダユキ
出演:高田渡、柄本明

『タカダワタル的ゼロ』(映画)_b0189364_09121280.jpg 先頃死んだ高田渡を題材にしたドキュメンタリー映画。
 冒頭に1970年のフォークジャンボリー出演時の映像が出てきて、若くて生意気そうでちょっとイカした(死語)姿を拝むことができる。その後出てくるのは、どっぷりアルコールに浸かった、老人然とした今の高田渡の姿だ(実際は55歳だが、55には見えないほど)。
 この映画の核になるのは、下北沢、ザ・スズナリのライブ映像で、スズナリライブで始まりスズナリライブで終わる(他にも京都の拾得、大阪の春一番などのライブも織り込まれる)。ライブはさながらジャズのライブのよう(実際に坂田明のサックスも登場)で、かなり盛り上がる。高田渡の演出力の高さが発揮されており、このドキュメントを見ていると、現場に居合わせているような高揚感も得ることができる。
 ライブ映像の間には、高田渡の日常を追った映像が挟まれる。ライブでも大分アルコールが入っていたが、日常でもずっと酒浸りである。ただのノンベエのジイサンだ。こういう生活をしていればろくな死に方ができなかっただろうことは断言できる。実際には公演終了後発作で死んだらしいが、本人にとっては良い死に方だったのだろうと映像を見ながらあらためて思った。
 ドキュメンタリーとしてもなかなか見せ方がうまく、高田渡の人となりが余すところなく表現されている。65分間まったく飽きずに、現代の吟遊詩人、高田渡の魅力を堪能できる1本。タカダワタル的酒と歌の日々……
★★★☆

by chikurinken | 2009-08-13 08:57 | 映画
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