ブログトップ | ログイン

竹林軒出張所

chikrinken.exblog.jp

それぞれのテーブル

それぞれのテーブル
(アルバム『それぞれのテーブル』に収録)

歌:ちあきなおみ
作詞:J.C.ジョホード/A.タバルト/J.ジョルジェティ
訳詞:真咲美枝
作曲:A.ドナード/M.クリスチーヌ

それぞれのテーブル_b0189364_10174358.jpg店のドアが開き
入って来たひとは
あなただった

ふたりでこの店に
よく来た頃がよみがえる
そしらぬふりして
タバコをつけても
もうだめなの
今は振り返り
笑う勇気さえなくしたの

あなたの腕にいる
若いあの娘はしあわせそうね
あなたもやさしく ほほえんでいる
たのしそうよ
昔はすべてをわかちあった私達
今はそれぞれの別のテーブルに座っている

バツの悪そうな
あなたの笑顔は
昔のままね
相も変わらず
手品のように
魅力的よ
あたしはそれには
もう 慣れてると
思っていたのに
同じテーブルの友達の
声も聞こえない

恋が終わったとき
ひとはそれぞれの別のテーブルに
いるのね

 ちあきなおみは歌がうまい。歌謡曲は言うに及ばず、シャンソン、ファド、ポップス、ニューミュージック、演歌となんでもこなす。
 ちあきなおみが歌った歌を聴いてつまらないと思ったら、それはその歌自体がつまらないのだと言っても過言ではない。
 ちあきなおみの歌を聴くと、「歌がうまい」ということがどういうことかよくわかる。声が通るとか良い声が出るとか、音をちゃんと拾えるとか、もちろんそういう要素も当たり前にあるのだろうが、要は表現力である。歌詞をいかにして聞き手に届けるか、歌詞のドラマをいかに聞き手に感じさせるかである。
 ちあきなおみの「それぞれのテーブル」を聴くと、ドラマが目の前に展開される。主人公の心の機微が伝わってくる。歌い手には、映画やドラマにおける役者と同様の役割があることも自然と理解できる。そう考えると、ちあきなおみが役者として良い味を出していることも合点がいく。ガッテンガッテン!
 引退して10年以上になるが、キャリアを終えたことが返す返すも残念である。もっといろいろな種類の音楽をカバーしてほしい。安っぽいカバーアルバムばかりがはびこる昨今、つくづくそう思うのである。

参考:
竹林軒出張所『ちあきなおみ ふたたび』
竹林軒出張所『「ちあきなおみ ふたたび」ふたたび』
by chikurinken | 2009-06-18 20:08 | 音楽
<< 歌詞についてこう考えた ビンジョー、ビンジョーで新作一点 >>